澪に、言ってしまった。
本当は、ずっと黙っているつもりだった。
でも。でも、澪に『ずっと、友達だ』って言われた途端、歯止めが、効かなくなった。
本当は、ずっと黙っているつもりだった。
でも。でも、澪に『ずっと、友達だ』って言われた途端、歯止めが、効かなくなった。
「友達なんかやだ…!友達なんて、イヤなんだよ…わかってよ…!」
泣きながら抱きついて、そういった私。
澪は、何か言うでもなく、支えるでもなく、ただ、呆然としていた。
そりゃあ、そうだよな。普通、ありえないし。
澪は、何か言うでもなく、支えるでもなく、ただ、呆然としていた。
そりゃあ、そうだよな。普通、ありえないし。
言ってしまったことに気が付いて、慌てて軌道修正をしようと思っても。
うまく頭が回らないし、涙も止まらなくて。
…もう、どうしようもなかった。
うまく頭が回らないし、涙も止まらなくて。
…もう、どうしようもなかった。
「あー、あの時の私の、ばか」
あの後、どうやって澪と別れて。
どうやって家に帰ったのかすら、思い出せない。
ただ、気がついたら部屋のベッドで、制服のまま寝ていた。
どうやって家に帰ったのかすら、思い出せない。
ただ、気がついたら部屋のベッドで、制服のまま寝ていた。
「どんな顔して、会えばいいんだよ」
…もう、ダメかもしれない。
澪の近くに、居られなくなったら。
話しすら、してくれなくなったら。
澪の近くに、居られなくなったら。
話しすら、してくれなくなったら。
そんな考えが、頭の中をグルグルしていた。
聞き覚えのある足音が、聞こえるまでは。
聞き覚えのある足音が、聞こえるまでは。
「澪?」
「足音、忍ばせたつもりなんだけどな」
「特別製の律イヤーをナメないでいただこう」
「足音、忍ばせたつもりなんだけどな」
「特別製の律イヤーをナメないでいただこう」
なんで、来たんだ。とか、頭はパニックを起こしてるのに。
いつもどおりの会話ができるのは、澪がいつもどおりだったから。
あんなことがあった、後なのに。
いつもどおりの会話ができるのは、澪がいつもどおりだったから。
あんなことがあった、後なのに。
「あのさ、律」
多分、さっきの、話だろうな。
できれば、聞きたくない。
でも、もしかしたら。なんて淡い期待が胸の中で暴れる。
できれば、聞きたくない。
でも、もしかしたら。なんて淡い期待が胸の中で暴れる。
「あの後、考えてたんだ。ずっと」
ぽつりぽつりと話す澪。
澪はゆったりとした口調で話してるのに、私は緊張しっぱなし。なんか、変だ。
澪はゆったりとした口調で話してるのに、私は緊張しっぱなし。なんか、変だ。
「律の、あの言葉の意味。いくら考えても、良くわかんなくて。だから」
一度言葉を切り、まっすぐにこちらを見つめる澪。
視線が、そらせない。
視線が、そらせない。
「聞きにきた」
言うのは、今しかない。それは分かってる。
いざ言うとなると、怖くて。中々言葉が出てこない。
…でも、言わなきゃ。
いざ言うとなると、怖くて。中々言葉が出てこない。
…でも、言わなきゃ。
「み、お」
「なんだ?」
「なんだ?」
名前すら、うまく呼べない。それでも、澪は優しく返事をしてくれた。
それだけで、心の重荷がすっと抜けた気がした。
それだけで、心の重荷がすっと抜けた気がした。
今なら、言える。
「私、澪のことが、好きなんだ」
澪の目を、しっかりと見つめ返す。
「友達じゃなくて、恋人として、側にいたい」
「だから、付き合ってください」
言い切った。
澪は、最後まで、ちゃんと聞いてくれた。
もうそれだけで、いい気がした。
澪は、最後まで、ちゃんと聞いてくれた。
もうそれだけで、いい気がした。
少しの、沈黙。
そして。
そして。
「私、さ。あんな歌詞書くけど、恋とかしたこと、ないから、さ。この気持ちが、律と同じかわかんない」
「でも、でもね。律のことが好き。他の人と同じ好きじゃなくて、律が好き」
「でも、でもね。律のことが好き。他の人と同じ好きじゃなくて、律が好き」
曖昧な言葉だけど、今の私にはそれで、十分。
拒否されなかっただけで、今は、いい。
拒否されなかっただけで、今は、いい。
「そんな私でも、いい?」
ダメなんて言うわけ、ないだろ。
だから。
だから。
「もちろん」
こうして、私たちは「友達」ではなくなった。
おわる。