けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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mioritsu

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放課後の音楽室
今ここには唯、ムギ、梓、私の4人だけ
律はムギ曰く先生に呼び出しされていた、らしい
成績のことではないと思うとムギは言っていたけど大丈夫だろうか

ドラムが居ないんじゃ合わせようがないということで
律待ちのティータイム
まぁ律が来ても練習するかは怪しいものだけど

とりあえず席に座りムギから紅茶を貰う
いつも思うけれど、どうやったらこんな風に美味しい紅茶が淹れられるんだろう
今度ムギに聞いてみよう

そんなことを考えていると
さっきまで梓に飛びかかって撫でまわしていた唯と
撫でまわされたせいかは分からないが、若干顔が赤い梓がこちらにやってきた

「ねぇ澪ちゃん、歌詞ってどうやって書いてるの?」

いつもの定位置に座り、ムギに紅茶を貰いながら唯が聞いてくる
何の脈略もないあたりがとても唯らしい

「ん~そうだなぁ。急に思いついたりもするし、実体験もあるし……色々だな」

ふわふわ時間だって考えている途中にムギから来たメールがきっかけだったし

「そうなんだ~。じゃあ、ふでペンボールペンの歌詞って実体験だったりするの?」

急に思いついた、という可能性は抜け落ちたのだろうか
……呆れるべきか、実のところ実体験なので勘が良いと取るべきか

「まぁ、実体験の部分もあるな」

何だか恥ずかしくなってきた
全部じゃないんだぞ。あくまで部分的に、だぞ

「その話、詳しく聞いてもいい?」

紅茶を梓に渡しながらムギが聞いてきた
……何故、そんなにも目が輝いているのかな

「あ、いや……えっと、そんな特別話すようなことは別に……」

段々声が小さくなっていくのが自分でもわかって情けなくなる
これじゃあ何かありますといってるようなものじゃないか

「私も聞きたい!」

唯まで……このままではまずい
とりあえず2対1というこの状態をなんとかしなければ



「いや、だから、そんなに面白い話でもないし。あ、梓は別に気にならない、よな?」

半ば無理やり後輩に助けを求める
先輩としてこれはどうなんだろう
でも今頼れるのは梓しか……

「……わたしも聞きたいです」

見事撃沈。前にもこんな展開があった気がする
3対1ではもうどうにもならない
私は観念することにした


「…………小学校の頃、律と仲良くなって少ししたくらいに律の誕生日があってな

『み~おちゃん!』

あいつは小さいころから元気いっぱいで……

『あのね、明日私の誕生日でね!誕生日会することになったの、みおちゃん来れる?』

そして唐突に言ってくるやつだった
当時は仲良くなったっていっても
律のほうから色々話しかけてきて、それに私が答えるって感じでな
一度も誕生日の話なんてしないものだからお互いの誕生日すら知らなかったんだ
後で聞いたら誕生日会の話も急きょ決まったらしくてさ
……律の家って割とそういうのが突然決まるんだ」


「あはは、それでこそりっちゃん家って感じかも」
「律先輩の唐突加減は遺伝なんですね」

律がここにいたら全力で言い返していそうなことを言う唯と梓だが
否定できないのでなんとも言えない


「……間の悪いことにその日は調度、家族と旅行に行くってことになって行けなくてさ
そのことを伝えたら、あいつは笑顔で
『そっか~それじゃ仕方ないね。分かった!』
っていうんだ

私にはその笑顔が、なんだか凄く寂しそうに見えた

話を聞いた時に早めになるけどおめでとうって言ってはいたんだけど
やっぱりこういうのって当日に伝えたいだろ?
でも、旅行は朝早くから出るから流石に当日言いに行くのは無理でさ
だからせめて、誕生日カードを書いて当日の朝ポストにいれてこうって思って
家に帰ってすぐ書き始めたんだ」


「歌詞に出てきたグリーティングカードは誕生日カードのことだったのね」

両手を頬に当ててなんだかうっとりしているムギがそういった
今の話でそうなる要素はどこに……



「それで、最初は全部ボールペンで書くつもりだったんだけど
誕生日おめでとうってところはふでペンで綺麗に書きたくてな
ほら、大体の誕生日カードってその部分太字だろ?
だからそこはボールペンじゃなくてふでペンだ~って、ね
今にして思えば何重かにすればいい話なんだけど、当時は思いつきもしなかったんだ」


「私が憂から貰ったのも太字だった!」
「細字のものって英語だったりしますよね」
「流石に小学生の頃だと英語は難しいかもしれないわね」
「私は今でも無理かも!」
「唯先輩……それは流石にどうかと」

うん、私もそれはどうかと思うぞ、唯


「でな、書き始めたは良いんだけど
当時ふでペンなんて使ったことなくてさ
何度も何度も失敗して
あぁもう無理、やっぱり印刷された綺麗なのにしようかなって諦めかけたんだけど
その時にふと、あいつの寂しそうな笑顔思い出しちゃって
やっぱり手書きでちゃんと気持ち伝えなきゃって思って必死になって書いたんだ」


「おーっす!またせたなぁ!」
それで……と話を続けようとした私の言葉を遮るように律が入ってきた
ほとんど話し終わっちゃった後だけど話を切り上げるには良いチャンスだ

「もうこの話はおしまい。律も来たことだし、練習するぞ!」

「え~……いいとこだったのに~」
「何の話だ?私にも聞かせろ~!」
「えっとね、ふでペンボールペンの……」
「わぁぁぁ!練習だ、練習!ほら、律も遅れてきたんだからさっさと準備!」






律はきっと覚えてないだろう
でも、誕生日カードを手にした律が
私に見せたあの笑顔は
今でも私の宝物だ

おわる。


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