投稿日:2010/11/26(金) 00:54:07
「いいか律」
「ん…」
学校帰り、私は澪の部屋に居た。
「お前は私のだ。私だけの律なんだ」
「分かってるよ」
そう、私たちは付き合っている。
「分かってない!ならなんで他の女と仲良くなんてできるんだよ!」
「別にクラスメイトと話すぐらい…」
「律は自分が周りからどんな目で見られてるか分かってない…!」
「そんなんただの友達に決まってるだろ」
「違う!…律はそういう目で見られやすいってこと、本当に分かってないんだな…」
「はぁ!?何言って…」
「こないだ下級生から告白されてただろ。それも一度や二度じゃないはずだけど?」
「それは…」
「…そうだな。そういう自覚のない律にしかるべき態度を求めるってのは酷だよな」
「………」
「じゃあこうしようか」
澪の提案はこうだった。
「明日、廊下でキスをする」
見せつけて、とにかく私が澪のものであることを知らしめるらしい。
無論、私は反対した。
確かにそれは同時に私にとっても、澪が私のものであることを顕示する良い機会ではある。
しかしそれはまた私たちが同性愛者、つまり常識から外れた人間であることをはっきりと示すことになるのだ。
そうなれば澪や私は残りの学生生活中、絶えず奇異の目を向けられながら過ごしていかなければならないかもしれない。
それだけならばまだいい。
直接的な迫害や陰湿な嫌がらせといったものが澪に降りかかることに耐える自信が、私にはない。
無論、私は反対した。
確かにそれは同時に私にとっても、澪が私のものであることを顕示する良い機会ではある。
しかしそれはまた私たちが同性愛者、つまり常識から外れた人間であることをはっきりと示すことになるのだ。
そうなれば澪や私は残りの学生生活中、絶えず奇異の目を向けられながら過ごしていかなければならないかもしれない。
それだけならばまだいい。
直接的な迫害や陰湿な嫌がらせといったものが澪に降りかかることに耐える自信が、私にはない。
だが澪はそれを聞いてもなお、やるといった。
「律さえ居ればそれでいい」
そう言ってようやく柔らかい表情を見せた澪に、私は何も言えなかった。
そして翌日、私たちは一番人の賑わう時間帯の廊下でキスをした。
これから私たちはどんなことを言われ、どんな目を向けられ、どんな目に合うのだろうか。
静まり返る廊下の喧騒に、私はただひたすらそんな不安に駆られていた。
そしてそのことは瞬く間に学校中に知れ渡り、当然の如く私たちの生活は普通で無くなってしまった。
そう、私たちは全校の祝福を受けて高校生でありながら学生結婚を果たしたんだ。
シリアスになると思った?
ハッピー・エンド
- GJすぐる… -- 名無しさん (2010-12-29 02:15:37)