けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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匿名ユーザー

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投稿日:2010/11/17(火) 01:35:31

「……澪?」

せっかくの祭りだってのに澪が機嫌なおしてくれなくて、悔しくなって
ちょっと俯いたら澪を見失ってしまった。

「なんだよ…」
あんなに怒ることないじゃないか。埋め合わせに一生懸命射的でぬいぐるみ
取ってあげて、何度も呼びかけて…大体、あの時だって私の誘いを断ったの
は澪じゃないか。でも…
「あーあ、澪のやつ一人になって大丈夫なのかよ」
私が悪いんでもいいから一緒にもっとお祭り楽しみたかったな
「一人で先に帰っちゃおうかな。澪は今頃一人で震えてるかな」
でも…
そんなことできるわけない。
「それとも澪は美人さんだからナン…」
あれ?そこまで考えて違和感。
いつもならナンパされて震える澪を想像するのになんでか今日に限って
ナンパにのって男と並んで歩く澪が頭に浮かぶ
「…ははっ。ないない」
そう。それはありえない。私の澪だもん、それくらいわかる。
でも…
「なんだよ…これ」
澪と誰かが一緒に楽しそうに歩く姿が頭から離れない。なんでこんなこと
想像してるのかもわからない。すごく胸のあたりがもやもやする。
「澪も…こんな気持ちだったのかな…私とム…」
違う。それは違う。私はムギと遊んでたんだ。知らない男、ましてナンパ
ヤローなんかじゃない。そんなやつとムギを一緒にするなんてムギに失礼だ!
でも…
じゃあ、ムギとなら?ムギと澪が私をほっといて二人で仲良くしてたら?
こんなこと…前にもあった。和と…

「澪ーーーーーっ!!」
私は駆け出していた。

「みーーーおーーーっ!!」
胸がもやもやする

「みおーーーっ!!どこだーーーっ!」
くそっ!走りづらい。浴衣なんて着てこなきゃ…でも澪が褒めてくれた。

「みぃおーーーーっ!みぃーーーおーーーーっ!」
回りの人が何事かとこちらを見る。浴衣で全力疾走だ。裾がはだけて
パンツ見えてるかもな。

知ったことか。

「澪ーーーーーっ!」
なんでもいい。今はとにかく澪に逢いたい。そしてこのもやもやが
晴れるまでいろんなことを伝えたい!



「……律?」
やっぱりいない。はぐれちゃったのかな。それとも怒って帰っちゃったかな。
でも…

「それも仕方ないよな」
ぬいぐるみをくれて、一生懸命機嫌をとってくれて、それでも不貞腐れてた
私。律は私とこのお祭りにくるのをとても楽しみにしてくれていた。
それなのにそれをブチ壊しにしてしまった私…
でも……

「どうしてこんなことしちゃたのかな…」
必死に呼びかけても無視する私を見て、律ちょっと悲しそうだったな。
大体にしてあの時だって、私が律の誘いを断ったから律とムギが二人で遊ぶ
ことになったのに。
今回ばかりは律が悪いんじゃないのに。

でも……
どうしても嫌だったんだ。私の知らないところで律が私以外の人と
楽しそうにしてるのは。ムギは大切な友達だ。でもイヤなんだ。
こんなの間違ってるってわかってる。
律は私のことが好きだ。疑ってなんかない。信じてるけど…
「私ばかり妬いちゃってみっとも…」

もうなおったーーーーーっ!

不意にあの時のことが思い出される。
律との行き違いがあってケンカしちゃって、でもお互いがどれだけかけがえ
のない存在なのかを再認識させてくれたあの出来事。
やきもち妬くのは私だけじゃなくて、律はいつでも私を支えてくれて、でも
そんな律にも弱っちゃう時があってそんな時支えるのは他の誰でもない私で。

「律を探さなくちゃ」
どうして忘れちゃうんだろう。こんな大事なこと。
「そう遠くにはいってないよな」
行くわけない。律が私をおいて帰るなんてあるわけないじゃないか
「とりあえず来た道を戻るか」
好きだから忘れちゃうんだろう。好きだから嫉妬しちゃうんだ。
とにかく律に会おう。まずは謝って、それから気持ちの全てを伝えよう。


「みぃぃぃぃぃーーーーーーーおぉぉぉぉぉぉーーーーっ!」

その時、大好きな声が聞こえた。



「りぃぃぃぃぃつぅぅぅぅぅぅ!!」
普段なら人前でこんな大声出すのは恥ずかしい。
でも今は…そんなこと関係あるか


「ゼェゼェゼェみぃゼェおっゼェ」
息を切らした律。トレードマークのオデコには汗が光り、汗で
浴衣が体に張り付いてしまっている律。
本当に必死になって私を探してくれていたのがわかる。
それだけで私は泣きそうになる。でも、今は泣いてはだめだ。


祭りの喧騒とは少し離れた神社の境内で私達は肩をよせあい体育座り。
ようやく呼吸も落ち着いてきた。

「澪…ごめんな」
「私も…ごめん…」
言葉が続かない。あんなに話したいこと、伝えたいことがあったのに…
「ははっいいたいことたくさんあったけど忘れた!」
「奇遇だな。私もだ。なんか言葉が出てこない。」
「ほんとにごめんな」
「何が悪いかわかってるのか?」
「わかるよ。澪のことだからな」
そっと手が触れる。
「ほんとにごめんな」
「何が悪いかわかってるのか?」
「ああ、律のことだからな。律はわかりづらいやつだけど」
「なんだよそれ」
「でも私はきっとずっと律のことわかってる」
「そっか…あんがと!」
お互いの顔がちかづく

祭りの締めくくりの花火が上がる中、祭りの喧騒からは取り残された私たち。
花火の光りが映し出す私達のシルエットは本当に二人で一人だった。

花火が終わってしばらく経つ。もうほとんどの人は帰ったらしく祭りの
喧騒はもう聞こえない。それでも私達は帰る気にはなれず、ずっと境内に
座っていた。会話は特になかったけれどいろんな事が伝わった気がした。
私達はこれからもやきもち妬いたり、ケンカしたり、気持ちがすれ違う
こともあるだろう。

でも…

今までがあったから、そして今日があったから心がはぐれてしまうことは
もう絶対にないだろう。
来年は二人でおもしろおかしくお祭りを過ごせたらいいな

おまけ

「そろそろ帰るか!」
そういって律が立ち上がる。
「ちょっ律!浴衣!」
律の浴衣が派手にはだけている。
「ああ!さっき全力疾走してたからな。パンツ見られたかも♪」
「………」
そういえばそうだな。さっきなんて汗で浴衣が体にピットリ張り付いてたし…
「ほら、律。浴衣なおしてあげるからこっちきて境内の中入ろう」
「え?浴衣なおすだけならここでいいだろ。」
「これ以上誰かに律のそんな姿見られたくない」
「でもそんな都合よく、境内の鍵が開いてるわけ…って開いてる!?」
二人で境内の中に入る。誰にも見られないようにしっかり扉を閉める。
「澪…怖くない?」
「ああ、大丈夫。」
普段ならこんな暗がりの中じゃ震えちゃうだろう私も今は平気。
なんたって漏れてくる月明かりに照らされた律がこんなにもかわいいの
だから…
「あのー澪しゃん…」
「何でしょうか律さん?」
「浴衣が調っていくようには見えないのですが…」
それはそうだ。こんな状況で律のこんな姿を見て浴衣を直すなんてできる
わけない。
「…律が悪いんだからな…」
「…今日は澪も悪いだろ」
「そうだな」
「ふふっ」
「それに…」
「ああ、こんな都合よく鍵がかかってない…」


「「境内が悪いんだからなっ!」」


どんなことがあってもずっと一緒だよ律。
ばーか、あたりまえだー!!


おしまい



  • 境内ナイスw -- 名無しさん (2012-01-04 02:50:50)
  • これ大変素晴らしいと思います -- 名無しさん (2012-07-29 20:06:28)
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