投稿日:2010/11/02(火) 16:20:20
マフラーを編んでみようかな。
そう思ったのは秋に入ってすぐのことだった。
今年は暑くて長い夏から急に寒くなったからか、その寒さが例年以上に身に染みる。
だからマフラーを出そう、そう思ったんだけども毎年同じものっていうのもなんだか味気ない。
それならいっそ自分で…という訳だ。
とはいっても編み物の経験なんてほとんどない。
仕方ないから私は休日に初心者向けの本と少し多めの毛糸を買ってきた。
これで寒い秋もこごえる冬も大丈夫!…かな。
さぁ、早速今日から始めよう。
今年は暑くて長い夏から急に寒くなったからか、その寒さが例年以上に身に染みる。
だからマフラーを出そう、そう思ったんだけども毎年同じものっていうのもなんだか味気ない。
それならいっそ自分で…という訳だ。
とはいっても編み物の経験なんてほとんどない。
仕方ないから私は休日に初心者向けの本と少し多めの毛糸を買ってきた。
これで寒い秋もこごえる冬も大丈夫!…かな。
さぁ、早速今日から始めよう。
――――――
――――
――――
「今年は寒いなー」
うっすらとした白い吐息混じりに律は言った。
寒い、なんて言ってはいるが元気印は相変わらず。
寒い、なんて言ってはいるが元気印は相変わらず。
「あぁ…」
当の私はというと、寒さと寝不足とでなかなか律のようにはいかない。
寝不足。
そう、寝不足なんだよ。
マフラー編むのってなかなか難しくて、毎晩本をみながら遅くまで格闘しているんだ。
失敗も少なくはない。
毛糸多めに買っといてよかった。
寝不足。
そう、寝不足なんだよ。
マフラー編むのってなかなか難しくて、毎晩本をみながら遅くまで格闘しているんだ。
失敗も少なくはない。
毛糸多めに買っといてよかった。
「みおー?元気ないな、調子悪い?」
「ん…大丈夫」
「そっか。ならいいけど。最近ずっとそんな感じだったからさ」
「…寒いからだ」
「ふーん?」
確かに調子がいいとはいえないんだけど、かといって悪いってほどでもない。
その原因も分かっている。
とはいえ律に心配をかけさせてしまっていたのは反省しなきゃな。
なんだかんだでいつも私やみんなのこときっちり見てるんだから。
そういえば律のマフラーも大分見慣れたやつだな。
…そうだ、律のマフラーも私が…
その原因も分かっている。
とはいえ律に心配をかけさせてしまっていたのは反省しなきゃな。
なんだかんだでいつも私やみんなのこときっちり見てるんだから。
そういえば律のマフラーも大分見慣れたやつだな。
…そうだ、律のマフラーも私が…
「―!―――!」
りつ…?
――――――
――――
――――
「んぅ…」
「お、目ぇ覚めたな」
「え…あれ、私…」
「覚えてないか?学校行くときフラッと…」
「あ…!」
どうやら私は倒れてしまったようだ。
原因は寝不足と風邪。
あれから律が私の家まで運びこんでくれたらしい。
熱も少しあったとか。
そして今はもう夕方。
原因は寝不足と風邪。
あれから律が私の家まで運びこんでくれたらしい。
熱も少しあったとか。
そして今はもう夕方。
「そういえば律、学校…」
「あー…中途半端になっちゃったからそのまま、ね」
「え…じゃあ今まで何して」
「これ。途中から悪いとは思ったんだけどさ。…まずかった?」
少し不安げな表情を浮かべる律。
律の手元を見ると、私の編みかけのマフラーがあった。
昨日の晩に仕上げた分よりかなり進んでいて、完成するのに十分な長さはあるようだ。
それになんだか、私の編んだ部分と律の編んだ部分とでは仕上がりがかなり違う。
こういった律の家庭的な面での器用さ、細かさといったものは素直に羨ましいと思う。
律の手元を見ると、私の編みかけのマフラーがあった。
昨日の晩に仕上げた分よりかなり進んでいて、完成するのに十分な長さはあるようだ。
それになんだか、私の編んだ部分と律の編んだ部分とでは仕上がりがかなり違う。
こういった律の家庭的な面での器用さ、細かさといったものは素直に羨ましいと思う。
「そんなことないよ。うまいじゃないか。ありがとう」
「少し長くなっちゃったけどな。仕上げは自分でやるだろ?」
「うん。そこに置いてて」
「あ、そうだ。澪、お腹空いてない?」
「す、少し…」
「ちょっと待ってろよ」
そう言って部屋から出ていく律。
その後しばらくして、お粥を持ってくる。
そっか、家に誰も居なかったから学校休んでついててくれたんだ…。
その後しばらくして、お粥を持ってくる。
そっか、家に誰も居なかったから学校休んでついててくれたんだ…。
「律」
「ん」
「今日はありがとな。もう大丈夫だからうつらない内に戻ってくれ」
「本当か?明日来れそう?」
「まだちょっとわかんないな」
「そう…早く治せよ?」
「うん」
結局私は翌日まで休んだ。
体調も完全ではなかったし、何より時間のある内にマフラーの仕上げもしてしまいたかった。
体調も完全ではなかったし、何より時間のある内にマフラーの仕上げもしてしまいたかった。
――――――
――――
――――
「お、来たな。もう大丈夫か?」
「ああ。一昨日は本当にありがとな」
「いいよっ。あ、澪、そのマフラー」
「昨日時間あったからな、仕上げたんだよ」
「おお。これで寒さ対策ばっちりだな!」
「ん…まだ少し寒い」
「まぁ…手編みだから」
「そこじゃないよ。律、こっち来て」
「んん?」
律を呼び寄せ、多めに巻き付けていたマフラーを律の首にもかける。
「学校が見えたら外すからな…」
顔が熱い。
「…あったかい」
律がつぶやく。
結局、その後学校が見えるまで私たちは終始無言だった。
お互い顔を見合わせることはできなかったけど、手だけは自然と握っていた。
結局、その後学校が見えるまで私たちは終始無言だった。
お互い顔を見合わせることはできなかったけど、手だけは自然と握っていた。
私が編んで、律が編んで、また私が編んだ一人分にはちょっと長すぎるマフラー。
さすがに律の分まで編む時間はなかったけど、これなら律も私も。
さすがに律の分まで編む時間はなかったけど、これなら律も私も。
少しだけ、冬が楽しみになった。
おわり