けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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mioritsu

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だれでも歓迎! 編集
投稿日:2010/09/26(日) 23:44:03

澪はああ見えて甘えるということをしない。
いや、一見するとクールな彼女だから甘えるという行為は似合わない気もするが
実際は怖がりだし気の弱いとこがあって、そんな中身を知っているからこそ意外に思えるのだ。
それは恋人同士であってもかわらない。
澪は私に甘えてこないし、だいたい私から澪にくっついていくのがパターン化している。
私はというと(自分で言うのもなんだが)人懐っこいしスキンシップも多いほうだ。
もともと甘え上手なのかもしれないが、
こと澪に関しては、風邪を引いて迷惑をかけた一件以来素直に気持ちを伝えられるようになった。
たいして澪は、私が手を握ったら握り返す、私が抱き締めたら同じように腕を回してくれるくせに
自分から抱き締めてくれたことはない。
それがなんだか面白くなくて、なので最近は一緒にいても余計にモヤモヤするばかりだ。
それでも今日も結局一緒にいるんだけど。
澪はベッドを背もたれに、なにやら熱心に雑誌を読んでいる。
私はそんな澪をベッドの上から観察していたけれど、澪はそれに気付いていないようだ。
真剣な後ろ頭がかわいいぞー澪ー。
しかしいつまでも構ってくれないのは悔しいので、ポンポンと澪の後頭部を軽く撫でてみた。
「なんだよぉ」
澪が雑誌を閉じてこちらを向く。
さて、モヤモヤを晴らすには本人に直接ぶつけてしまうのが一番だろう。
「澪しゃんに話がある!」
「そんな大声出さなくても聞こえるよ…」
これは自分に言い聞かせてるのだよ、澪しゃん。こんな話、改めてするのは恥ずかしいんだから。
「まあまあ、ちょっとここに座りなさい」
そう言って私の隣に座るよううながす。
澪はハイハイと私の態度にも慣れた調子で返事をしながらベッドに座った。
「で、話ってなんだ?」
「え、いや~澪ってさ…」
「?なんだよ」
「いや、澪ってさ、甘えてこないよなって」
澪は露骨に何言ってんだこいつって表情を浮かべる。
こっちは真剣に悩んでいるというのに。
「なんか手ぇ繋ぐのも、くっつくのも、いつも私からだし…」
「澪から甘えてきたことってないなって思ってさ」
私はそれだけ言うと澪からの返事を待った。
しばらくの沈黙のあと、澪は口を開いた。
「…でも律が抱きついてきたら私だって応えてるし」
「そうじゃなくて、私は澪から甘えてきてほしいの!」
「えー」
澪は困ったように眉を八の字に下げて、笑った。
このモヤモヤの原因は、私ばかりが澪を求めているように感じることにあるのだ。
本当は、澪は私を必要としていないんじゃないかという不安感。
「私は、律が甘えてきてくれるだけで嬉しいよ」
澪が言う。
そうじゃない。私はただ純粋に澪が私を求めてくれているという明確な形がほしい。
「ねえ。澪はさ、私といて甘えたいなーって思うこと、ないの?」
「ぅ、ないことはないけど…」
言葉を濁す澪に更に自分の気持ちを吐露する。
「なんか私ばっかりが好きみたいでさ、空回ってるみたいじゃん」
言いたいこと言ってしまうと幾分心が軽くなった。
澪は私の言葉を聞いて、返事に困っているようだ。
「私だって律のこと、…だ、抱き締めたいって思うこと…あるよ」
俯いて澪が言う。

思わず「じゃあ抱き締めてよ」と言いそうになったが、さすがに恥ずかしい台詞すぎたのでやめた。
「じゃーなんで」
「だ、だって恥ずかしいし!」
抱きつくのが恥ずかしいなら私はどうすりゃいいんだ。
こうなったら私だって恥ずかしいが言うしかない。
「だーかーらー!わっ私だって澪にぎゅーってされたいんだってば」
布団をバシバシ叩きながら言う。もう私の顔は赤くなってるんだろう。
私の言葉にぱっと顔を上げた澪の表情は意外なものだった。
「…あに笑ってんだよ」
「フフッ、だって可愛いなあって」
澪は緩んだ頬を手で押さえているが全然隠しきれていない。
今度はこっちが俯く番になってしまった。
澪の顔を見れなくてただ布団を見つめているとベッドのスプリングがギシリと鳴った。
ふわりと澪の匂いがした。
ギュっと腕に圧力が掛かって、澪の温もりを感じてやっと抱き締められたんだと気付く。
「…不安にさせてごめんな」
耳元でボソボソ喋るもんだから、やたらと澪の声が艶っぽく感じる。
抱き合っていると言い表わしようのない幸福感に満たされた。
胸の奧が熱くなって私からも澪の背中に腕を伸ばした。
「抱きつくのって、すっげー気持ち良いっしょ?」
「うん…意外と恥ずかしくないな」
澪がフフと息を漏らす。
またぎゅうっと抱きしめられたので、もう澪に体重を預けることにした。
澪の胸に頭を押しつけるようにしてくっつく。結局、私が澪に甘えてるような形になってしまった。
でも今日は澪からだったからいいやって事にしとこう。
「ねえ、律」
「んー?」
「…好きだよ」
!?素直に行動すると、色々と大胆になるのだろうか。
とりあえず今は甘んじてこの状況を満喫しよう。

おわり



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