君と私は釣り合わない
ある日の体育の時間、
短距離走で学年5位という記録を出した君を見ていて思ったこと
私はというと、平均で言えば速い方ではあった
でも、君と比べれば天と地程の差。
その差は一秒もないけど、
陸上で短距離となればそれでも天と地の差だよね
いつからか、君に勝るもの、それが私にはなくなっていた気がする
君は多くの女子に囲まれてチヤホヤされて照れていて
私の周りには仲の良い二、三人の女子がいるばかり
その女子だって、注目していたのは君だった
「ねえねえりっちゃん、澪ちゃんって運動できる方なんだね!」
できる方なんてもんじゃない。小中学生のころからどちらかといえばできる方だったし
高校に入ってからはまた運動神経良くなったみたいで。昔は私のが運動得意だったのにね
君に欠けてるものなんてない。
恥ずかしがりとか人見知りはあるけど、そんなものだって環境が良ければ
何の邪魔にもならない。部活も学校生活も充実している君に
もう欠点なんてなにもない。
ある日の体育の時間、
短距離走で学年5位という記録を出した君を見ていて思ったこと
私はというと、平均で言えば速い方ではあった
でも、君と比べれば天と地程の差。
その差は一秒もないけど、
陸上で短距離となればそれでも天と地の差だよね
いつからか、君に勝るもの、それが私にはなくなっていた気がする
君は多くの女子に囲まれてチヤホヤされて照れていて
私の周りには仲の良い二、三人の女子がいるばかり
その女子だって、注目していたのは君だった
「ねえねえりっちゃん、澪ちゃんって運動できる方なんだね!」
できる方なんてもんじゃない。小中学生のころからどちらかといえばできる方だったし
高校に入ってからはまた運動神経良くなったみたいで。昔は私のが運動得意だったのにね
君に欠けてるものなんてない。
恥ずかしがりとか人見知りはあるけど、そんなものだって環境が良ければ
何の邪魔にもならない。部活も学校生活も充実している君に
もう欠点なんてなにもない。
私はどうだろう・・・私の欠点。
頭は良くは無い、運動もできない方ではないけど、君にはついに及ばなくなった
背も低いし、胸も小さいし、顔もたまに可愛いとは言われるけど、それ程良い方とは思えない
歌詞だって書けやしないし、歌も上手くないし、
ドラムも・・・多少才能があればすぐ追いつけるくらいのものだと思う
頭は良くは無い、運動もできない方ではないけど、君にはついに及ばなくなった
背も低いし、胸も小さいし、顔もたまに可愛いとは言われるけど、それ程良い方とは思えない
歌詞だって書けやしないし、歌も上手くないし、
ドラムも・・・多少才能があればすぐ追いつけるくらいのものだと思う
君が、遠く見えた
*
「・・・・38度か・・・」
その体育の後、昼休みあたりに急に調子悪くなっちゃって
保健室に行ったら早退を薦められた。風邪気味だってさ
普段風邪なんか引かないのに・・・なんでだろ。
その体育の後、昼休みあたりに急に調子悪くなっちゃって
保健室に行ったら早退を薦められた。風邪気味だってさ
普段風邪なんか引かないのに・・・なんでだろ。
- まあ大体わかってるけど
私は後ろ向きになると風邪を引くみたい。こうなってみるといつもの自分は
どれだけ前向きなのかと、色々考えてしまう
それで一応みんなにそのことを伝えて早退して、帰った後はずっと寝てた。
でもその間もずっと考え事してたもんだから、熱も下がらず、むしろ悪化していった
次の日の朝、熱は38度・・・病院に行って検査してもらったところ、幸いインフルエンザではなかった
それでも誰かに移したら悪いので、学校は休んで、その日もずっと寝ていた。
どれだけ前向きなのかと、色々考えてしまう
それで一応みんなにそのことを伝えて早退して、帰った後はずっと寝てた。
でもその間もずっと考え事してたもんだから、熱も下がらず、むしろ悪化していった
次の日の朝、熱は38度・・・病院に行って検査してもらったところ、幸いインフルエンザではなかった
それでも誰かに移したら悪いので、学校は休んで、その日もずっと寝ていた。
「・・・・澪・・・」
あの体育の時間から、君との間に距離を感じていた。ちょっと勝手すぎるけどね。
天性に恵まれたんだなあ。私には何も無い
また相も変わらず悩んでいると、一つのリズムが耳に入る
このリズム・・・ああ、もう午後か。・・・・来てくれたのかな
「・・・澪?」
「げっ・・・・今回はばれないように入ろうと思ったのに」
ドアを開き、はにかみながら部屋に入ってくる君。
その完璧ぶりにギャグセンスまで兼ね備えはじめたみたい。ずるいなあ。
「・・・風邪、だって?」
「・・・・・うん」
こんな近くにいるのに、遠い
「・・・・・・・辛い?」
「・・・うん・・・」
風邪ももちろん辛いけど、今はそれより精神的に辛い。
自信がどこかに消え失せちゃったみたい
君の笑顔だって、とても優しい笑顔なのに、今の私にはナイフのように鋭く見えて
胸に突き刺さってくるような感覚さえ覚える。
あの体育の時間から、君との間に距離を感じていた。ちょっと勝手すぎるけどね。
天性に恵まれたんだなあ。私には何も無い
また相も変わらず悩んでいると、一つのリズムが耳に入る
このリズム・・・ああ、もう午後か。・・・・来てくれたのかな
「・・・澪?」
「げっ・・・・今回はばれないように入ろうと思ったのに」
ドアを開き、はにかみながら部屋に入ってくる君。
その完璧ぶりにギャグセンスまで兼ね備えはじめたみたい。ずるいなあ。
「・・・風邪、だって?」
「・・・・・うん」
こんな近くにいるのに、遠い
「・・・・・・・辛い?」
「・・・うん・・・」
風邪ももちろん辛いけど、今はそれより精神的に辛い。
自信がどこかに消え失せちゃったみたい
君の笑顔だって、とても優しい笑顔なのに、今の私にはナイフのように鋭く見えて
胸に突き刺さってくるような感覚さえ覚える。
*
「はいこれプリント。あと唯とムギと梓から・・・・・律?」
「え・・・?」
「・・・涙」
ずっと決めていた。どんなに悲しいことがあっても、澪には涙は見せないって
なのに今、私の目にはとても熱い感覚があって、全部ぶちまけたい衝動に駆られた
抑えたい、抑えていたい、今の私の悩み
こんなこと言われたって澪は困るだろう。だけど、なのに、口の方が素直みたいで
「・・・・澪・・・何で私なんかと・・・・付き合ってるの?」
「え・・・」
「澪は勉強もできて・・・運動も出来て・・・キレイでスタイルもいいし・・・」
いいやもう、何の解決にもなりはしないだろうけど
吐き出そう。
「それなのにっ・・・ひぐっ・・・・私なんかっっ・・・何も無い・・・何も持ってない・・・・
釣り合う部分なんて何もないよっ・・・・
私なんかがっ・・・・澪と関わっちゃいけないんだよ・・・・」
私の嘔吐のような告白に君は当初驚いていたようだったが、大方吐き出し終えると
君は少し笑いながら私の頭を撫でてくれた
「・・・バカだな。そんなことで悩んでたのか?」
笑顔だけど、君は陰りを帯びていた。一言で言えば、泣きそう
そんな表情だった
「え・・・?」
「・・・涙」
ずっと決めていた。どんなに悲しいことがあっても、澪には涙は見せないって
なのに今、私の目にはとても熱い感覚があって、全部ぶちまけたい衝動に駆られた
抑えたい、抑えていたい、今の私の悩み
こんなこと言われたって澪は困るだろう。だけど、なのに、口の方が素直みたいで
「・・・・澪・・・何で私なんかと・・・・付き合ってるの?」
「え・・・」
「澪は勉強もできて・・・運動も出来て・・・キレイでスタイルもいいし・・・」
いいやもう、何の解決にもなりはしないだろうけど
吐き出そう。
「それなのにっ・・・ひぐっ・・・・私なんかっっ・・・何も無い・・・何も持ってない・・・・
釣り合う部分なんて何もないよっ・・・・
私なんかがっ・・・・澪と関わっちゃいけないんだよ・・・・」
私の嘔吐のような告白に君は当初驚いていたようだったが、大方吐き出し終えると
君は少し笑いながら私の頭を撫でてくれた
「・・・バカだな。そんなことで悩んでたのか?」
笑顔だけど、君は陰りを帯びていた。一言で言えば、泣きそう
そんな表情だった
*
「私・・・・律に認めてほしくて・・・・今まで頑張ってきたんだよ」
- え?
「いつも私は律に助けられてた・・・・いつも心配ばかりかけて・・・
だから勉強や運動や・・・人付き合いも頑張って・・・律に心配かけないように・・・
そうなろうって・・・・頑張ってきたんだよ?」
君の目からも涙がこぼれた
「なのに・・・・なのにっ・・・・そんな寂しいこと・・・・言うなよっ・・・・」
今私たち、二人揃って泣いてる。 おかしいや
「律に見てもらえないんじゃっ・・・・何したって・・・意味無いよっ・・・・・うっ・・・・えええん」
あーあー・・・そんなに泣いちゃって・・・・目真っ赤だよ?
「・・・・そんなっ・・・勝手に一人で悩むなよ・・・・・・いつもいつも・・・・・・
なんでっ・・・・・・本気で頼ってくれないんだよっ・・・・・・
私だってもっとっ・・・・律に頼られたい・・・・ずるいよっ・・・・・
もう私が一人前になったからっ・・・・・関わるのはやめようなんて・・・・私もっ・・・・律を助けたいよっ・・・・・」
私も君も、涙が止まらない
涙だけで海ができるんじゃないか?そんなバカなことも考えてしまうほど
だから勉強や運動や・・・人付き合いも頑張って・・・律に心配かけないように・・・
そうなろうって・・・・頑張ってきたんだよ?」
君の目からも涙がこぼれた
「なのに・・・・なのにっ・・・・そんな寂しいこと・・・・言うなよっ・・・・」
今私たち、二人揃って泣いてる。 おかしいや
「律に見てもらえないんじゃっ・・・・何したって・・・意味無いよっ・・・・・うっ・・・・えええん」
あーあー・・・そんなに泣いちゃって・・・・目真っ赤だよ?
「・・・・そんなっ・・・勝手に一人で悩むなよ・・・・・・いつもいつも・・・・・・
なんでっ・・・・・・本気で頼ってくれないんだよっ・・・・・・
私だってもっとっ・・・・律に頼られたい・・・・ずるいよっ・・・・・
もう私が一人前になったからっ・・・・・関わるのはやめようなんて・・・・私もっ・・・・律を助けたいよっ・・・・・」
私も君も、涙が止まらない
涙だけで海ができるんじゃないか?そんなバカなことも考えてしまうほど
「ごめん澪っ・・・・・・・じゃあっひぐっ・・・・今だけ・・・頼って良い・・・・?」
「・・・・・・・ううん・・・・今だけなんて言うなよ・・・・いつだって・・・・頼ってくれ
貯金はいっぱいあるから」
「・・・・・・・ううん・・・・今だけなんて言うなよ・・・・いつだって・・・・頼ってくれ
貯金はいっぱいあるから」
出会ってから初めてかもしれない
君にこの体を全て託すのは
君にこの体を全て託すのは
「澪っ・・・・澪ぉっ・・・寂しかったっ・・・・・・・辛かったよお・・・・」
「大丈夫だよ・・・・いつも一緒に居てあげるよ・・・・・
これからは、私が律をずっと見ててあげるから!・・・・だからっ・・・もう心配しないでッ・・・・」
「うっ・・・・ううっ・・・うわぁぁぁん」
「大丈夫だよ・・・・いつも一緒に居てあげるよ・・・・・
これからは、私が律をずっと見ててあげるから!・・・・だからっ・・・もう心配しないでッ・・・・」
「うっ・・・・ううっ・・・うわぁぁぁん」
*
あーあ、何がどうなってるんだか。気付けば朝だった
抱き合ってバカみたいに泣いたまま、泣きつかれたのか私が寝ちゃったみたいで
起きたら私がベッドに、君が床にお泊り用の布団を敷いて寝てた。久々だね、お泊りするの。
風邪はというと、熱の方はわからないけど、体は嘘みたいに楽になった。これなら多分熱も引いてると思う
やっぱ気持ちに左右されやすい体質なのかなあ
抱き合ってバカみたいに泣いたまま、泣きつかれたのか私が寝ちゃったみたいで
起きたら私がベッドに、君が床にお泊り用の布団を敷いて寝てた。久々だね、お泊りするの。
風邪はというと、熱の方はわからないけど、体は嘘みたいに楽になった。これなら多分熱も引いてると思う
やっぱ気持ちに左右されやすい体質なのかなあ
にしても昨日が金曜日でよかった。平日だったら遅刻してたところだよ・・・・
私と一緒に目覚めた君も、目は真っ赤。髪はぼさぼさ。多分私もそう・・・一緒だよ
「ははっ。目がぐりぐりする・・・顔洗おう、澪!」
「うん。ほら、起きれる?」
久々に君に投げかけた、私の笑顔。
君は安心したみたい。良かった。
「ははっ。目がぐりぐりする・・・顔洗おう、澪!」
「うん。ほら、起きれる?」
久々に君に投げかけた、私の笑顔。
君は安心したみたい。良かった。
もう、抱え込まない。私の荷物、これからは君にも少し持ってもらおう。
いいよね。・・・・・だって、君がそう言ったんだよ?
いいよね。・・・・・だって、君がそう言ったんだよ?
- 澪!
- 素晴らしいですはい -- 名無しさん (2011-10-31 23:00:03)
- すごくいい -- 名無しさん (2012-01-10 19:56:23)
- なう。 -- 名無しさん (2012-01-28 12:09:44)
- Good -- 名無しさん (2012-01-29 07:56:36)