けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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mioritsu

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投稿日:2010/06/20(日) 15:51:58

流れる季節の真ん中で、ふと日の早さを感じます

3月9日・・・私にしたらお涙頂戴の陳腐な曲に聞こえたけど
今だけは、その曲に感情を入れざるを得ない
卒業式、といっても私のではない。先輩・・・つまり3年生の卒業式。
2年生にしたらそんなに感情移入するようなイベントじゃないはずなんだけど、
私にとっては・・・あの人との、しばしの別れ。

「ほら秋山、後輩が来てるよ!」
「ん?ああ・・・田井中。」

同級生や後輩に囲まれ、ちやほやされる澪先輩を
私は最初、遠くから見てるだけだった
自分を見てくれるかが、自分に気づいてくれるかが怖かったから
澪先輩が私に気づいてくれたのは、ほかの同級生に声をかけられてから・・・
まあいいけどさ。

「先輩、ボタンくだせえ。」
「はあ?早速なんだよそれは。」

まずは冗談をかましたつもりが、冗談になっていないらしく
澪先輩のブレザーのボタンは既に無くなっていた。
残念そうな顔をする私を見て澪先輩は少し笑うと、ブレザーの腕のあたりについてる
何であるのかよくわからないボタンを引きちぎり、こちらによこす

「あれれ、いいんですかそれ」
「うん、もう着ないだろうし・・・お前は忘れっぽいから、なんか残しておかないと。」

やさしさなのか皮肉のつもりか、どっちでもいいんだけど
ボタンを渡す少し大きい手が・・・異様に私の涙腺を刺激することに気づいてしまった
その手を握り、ボタンを受け取ったら・・・すべて終わってしまいそうで

小学生のときから姉妹みたいに仲良くしてた。
それから引越しとかはしてないから、今でも歩いてすぐいけるような近所なんだけど
それなのに・・・そんなことが吹き飛んでしまいそうで

「澪先輩、受け取るのは後でいいっす。」
「お前がほしいって言ったんだろ?いいかげんなやつ。」
「・・・ちょっと来てください!」

私は多くの3年生や同級生がいるにも関わらず、その場から澪先輩を連れ去り
向かった先は校舎裏

「・・・なんだよ。・・・律」
「・・・澪姉。」

*

二人きりのときは、こうやって互いに呼んでる。
知ってるのは私たちだけ・・・ではなく、数名にはバレてるんだけど

「私、がんばって勉強して澪姉と同じ大学行くからね!」
「うん・・・」

澪姉に抱きついてると言ってもいい状態で、私はいろんなことを訴えた。
女子大だからって油断するなよとか、バンドほっぽりなげるなよとか、
泣き虫直せよとか恥ずかしがり直せよとか・・・

澪姉は、私の頭を撫でながら、同じように
部長の引継ぎ頼んだぞ、寝坊するなよ、勉強しろよ、学校サボるなよ
私のこと忘れるんじゃないぞ
いろんなことを訴えてきた

私の目から流れ出る雫を、指でやさしく拭いながら・・・

「あとお前は寂しがりも直さないとな・・・」
「うっせー澪姉・・・」

少しすねる私にまた微笑を投げかけ、澪姉は私のブレザーのポッケに何かを入れた

「今はまだ見るな。ボタンと、あとちょっとしたプレゼント入れといた」
「・・・プレゼント?普通卒業生がもらうもんでしょ?」
「んまあ・・・引継ぎ祝いだよ。ほら、そろそろ泣き止め。戻るぞ」

澪姉は私の涙をハンカチで拭い、頭をポンとたたきながら、私に背を向けた。
それがお別れに思えたけど、結局一緒に下校しました・・・


家に帰って、ブレザーのポッケを穿り返すと
そこに入っていたのはさっきのボタンと、チロルチョコと・・・
小さく折られたメモ用紙

「ちょっと早めのホワイトデーだ!大事に食べろよ!あと・・・」

澪先輩からの手紙・・・
部長の心得とか、後輩への接し方・・・大学へ入っての抱負
澪先輩の生真面目さが垣間見えて、ちょっと拍子抜けして
だけど・・・それがどうしようもなく暖かかった。

また目を拭っていると、鳴り響くチャイムの音
「りつー、澪さんよー!」
「はーい」
そういやこのあと部活の打ち上げだったな・・・
ちょうどいいや、そのとき・・・打ち明けよう。
出会ったあの日からずっと抱え続けてきた感情
愛とか、恋では表せない、でも素直な気持ち・・・

私が迎えにいくまで、待っててください・・・大好きだぞ!
澪姉へ、律より

おわり




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