けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

卒業

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mioritsu

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だれでも歓迎! 編集
投稿日:2010/06/08(火) 02:27:35

「いよいよ卒業だな」
律がいつもより25%減の笑顔でそうつぶやく
いつもの軽音部の部室
唯と紬は帰った
泣きじゃくる唯を紬がエスコートしていった
梓は来ない
みなさんだけにしておいてあげますね、だそうだ
生意気な。自分が一番泣いていたくせにね

「澪は」
「ん?」
「なにかやり残したことがあるのか?」
律のくせに鋭い
「ずっと上の空だったから、さ」
照れたのか、あさっての方向を向きながらそう訊ねてくる
ばか律、いくら窓から差し込む夕日に重ねても頬の赤さは隠せてないぞ

*

私と律は同じ大学への進学が決まっていた
もちろん唯と紬もだ
4月からまた、今までと同じような生活が始まる
同じような?
そう、それがここのところ、私を悩ませてきたモヤモヤの正体だ
今までと同じ学校生活、今までと同じ軽音部のみんなとの音楽活動、今までと同じ、律との関係

私はこの関係を壊したかった

私は、律が好きだ
自分がおかしいことはわかっている
女の私が、同じ女である律にこんな感情を抱くなんてね
もちろん誰にも言ったことはない
私はずっとこの思いを抱えたまま生きて行くつもりだった

「澪?」

私はきっと怖い顔をしていたのだろう、律が怪訝そうに聞いてくる
律、お前が悪いんだぞ?
お前がそうやって、私を誘惑するから
だから

*

「律」
「ん?」
「私は、律が好きだ・・・」

言えた
ずっとしまっておくはずだったこの思いは、意外にもあっさりと私の口から吐き出されていった
おかしいと思われたかな?
でもいいんだ
こんな気持ちのまま、今までと同じ生活を続けて行くのは私にとって拷問でしかないのだから
永遠にも思える数秒間
そして律は、満面の笑みを浮かべて言った

「私も澪が好きだぞ!」

ああ、私の好きな律の笑顔だ
でもな? 律、違うんだよ。私とお前の「好き」は
律、お前にはわからなかったか?
そうだろうな、お前は純粋だもんな
世の中にこんな歪んだ関係があることなんて考えたこともないだろうな

私が好きになった、そのままのお前でいてくれ
矛盾した話だが、私は本当に、素直にそう思った
私の欲望にまみれて曇ったお前なんて見たくない
だから、私は私の感情を押し殺してこう返す

*

「律、ありがとう。軽音部に誘ってくれて。私の高校生活を実りの多いものにしてくれて」
「よ、よせやい! こっぱずかしい」
「あ、でも・・・悪い思い出の方が多いかな?」
「なにおう!」

うん、いつもの私たちだ
私たちはじゃれあいながら、いつまでも高校生活の最後の思い出に名残を惜しんでいた

なあ、私、笑えていたよな?
明日からはもっとうまく笑えるようになるからさ
今日だけはちょっとぎこちない笑みでも許してくれよな、律




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