けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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匿名ユーザー

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投稿日:2010/05/31(月) 02:51:03

出会ってから、ずっと。ずーっと、募っていった想い。
伝えよう。私の、気持ち。

「澪」

立ち止まって澪を呼ぶ私と、黒髪をなびかせながら振り返る澪。
澪の背後には、夕日が真っ赤に輝いていて。なんでか分からないけど、その光に勇気づけられた。

「私、な。……澪の事が、好きなんだ」

風がそよぎ、長い黒髪がさらわれていく。真っ赤な夕日が、真っ白い肌を照らす。
何度も何度も見たことがあるその姿が、いつも以上に輝いて見えた。

「……私と、付き合ってください」

澪は、最初吃驚した顔をしてたけど。直ぐに真剣な顔つきになって……頷いてくれた。
すごく、すっごく嬉しかった。でも、どうしていいかわかんなくて。
告白した後のことなんて、さっぱり考えてなかったんだもん。
澪も、どうしたらいいのか、わかんないみたいだった。

「や、やっぱり照れるな!」
「……う、うん」

そのまま何をするでも無く、二人してまた並んで歩いた。
ふと、澪の左手が目に入って。そしたら、急に触れたくなった。
……触っても、いいかな。拒絶されたり、しないかな。
なんて考えながら、澪の手と私の手を交互に見つめてみたり。
何度かそれを繰り返して……そんで、思い切って澪の左手に触れた。

澪は吃驚したのか、手を引っ込めてしまった。
やっぱり、ダメ……か。
手を繋ぐくらい、今までは普通に出来たのに。
なんでかな、急に出来なくなっちゃった。……少し、寂しい。

そんな風に思っていたら、指の先を少し摘まれるような感覚。
私の手を摘む指は、私よりも震えていて。……初めて触れたかのような、不思議な感じがした。

「律」

少し震えた、でもしっかりとした声。私の大好きな、声。
名前を呼ばれただけなのに、何だか照れくさくて。
澪の方を見ることが出来ないから、空を見上げる。

「私も。律のこと、好き」

目の前に広がる夕日と、私がどうしようもなく大好きな声から紡がれた、言葉。
その一言が心の中に響きわたって、胸が苦しくなって。
……いっぱいいっぱい気持ちが溢れてきて。その気持ちが雫になって、流れ落ちた。

「なんで、泣くんだよ」
「……お前のせいだ、ばかみお」

左手で、何度も涙を拭いてみる。……中々、止まってくれない。
ふと右手のぬくもりが消えて。頭の上に、軽い重み。
一度、二度。ぽんぽんと、優しく叩かれる。
その後。ゆっくりと、ゆっくりと。撫でられた。
なんだろ。なんだか、胸のとこがくすぐったい。
気がついたら、涙は止まっていた。

「……泣き止んだな」
「へへ、何時もと逆だな!」

そう言いながら澪の方を見る。
きっと、澪は何時もどおりの。呆れたような顔をしてると、思ったんだ。
でも、違った。
……澪も泣いてた。頬を濡らしながら、微笑んでいた。
うまく、言葉が出てこない。……でも。身体は、勝手に動いていた。

「泣き虫みお」
「う、うるさい」

私の方が小さいから、包み込んでやることは出来ないけど。
それでも精一杯腕を広げて、澪を抱きしめる。
なんだか澪とひとつになったような気がして、嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
……澪が、私の肩に頭をくっつけてくる。だから私は、澪の背中をゆっくりと撫でてやる。

*

「律、もう大丈夫だから」

腕の中から、そんな言葉が聞こえてきたけど。
離してやらない。まだ。まだ、このぬくもりを感じてたいんだ。
だから、もうちょっとだけ、このままで。
そういう意味を込めて、抱きしめる腕に少しだけ力を込める。

「り、律?」

困惑する声がするけど、そんなの知らない。
今だけは、わがままな私でいたい気分なんだ。

「……まったく」

呆れた声とともに、背中に回される腕。
そのぬくもりがまた、私の心をいっぱいにする。
あぁ。もう本当に、どうしようもないほど。

「澪が好きだ」
「私も、律が好きだよ」

抱き合ったままで、二度目の告白。
どちらからでもなく、ゆっくりと離れる。
ぬくもりが消えるのは、名残惜しい。
だけど。

私の頬に、澪が触れる。
同じように。澪の頬に、私も触れる。

ゆっくりと、ゆっくりと。
私と澪の距離が縮まって。
さっきとは違った形で、澪とひとつになった。


おわる。



  • むちゃ綺麗で感動ですわ -- 名無しさん (2012-10-23 02:01:57)
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