けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

SS85

最終更新:

mioritsu

- view
だれでも歓迎! 編集
投稿日:2010/05/26(水) 04:43:45

「うさぎとかめ・・・」

部屋の整理をしていて見つけた、古ぼけた絵本
昔、パパの膝の上や、ママの布団の中で読んでもらった、あの絵本
うさぎとかめ・・・内容はご存知のとおり、要約すれば
自分の足の速さにうかれ油断したうさぎを、鈍足の亀が追い抜くという
子供心にも上手くできてるなあと思った、そんなお話。

パラパラとページをめくると、パパやママの温もりと共に
昔も今も、いつでも一緒にいた・・・あいつのことを思い出した

「澪ちゃん!もう大丈夫だよ!」
「うん・・・・ありがとう・・・」
小学生のころ、弱虫で人見知りだった私はいつでも、
どこにでも必ずいるであろう、やんちゃな男子のからかう標的にされていた
あの日、私は男子に大嫌いな芋虫を投げつけられて、それが怖くて
仕返しもできないまま、涙を流していた。芋虫なんて男子でも気持ち悪いと近寄るのすら拒むものだ
そんなものを投げつけられて耐えられるほど、昔の私のメンタルは強くなかった。

あいつは、そうやって泣いている私を見つけては、代わりに男子に仕返しをして、
私に手を差し伸べてくれた・・・
「ごめんねりっちゃん・・・私・・・」
「もう、澪ちゃんは悪くないよ!」
それはわかってるけど、実際いつも律に助けられてばかりだから
当時の私も、引け目に感じる部分はあったのだろう。
「でも、ちょっとは仕返しくらいしないと、あいつら調子に乗ってばっかだよ!」
まさしくその通り。律のくせにまともなことをいう
だけど・・・そんなの当時の私にしたら無理なことで・・・・
「・・・そんなの無理だよ・・・・だって・・・私・・・」

今私が思い出したのは、そのときそいつが・・・言ってくれた言葉

「澪ちゃん、うさぎとかめって知ってる?」
「・・・・うん、知ってる・・・」
なんでこんなときに絵本の話を・・・そんな疑問を投げかける術もなく、
私はただそいつの・・・律の言葉に耳を傾けた
「うちのお父さんがね、うさぎとかめを読んでくれた後・・・教えてくれたんだ。」

『亀さんがうさぎさんに負けなかったのは、うさぎさんが寝ていたからじゃないんだよ。
亀さんはどんな辛いことにも負けないで、怯えず、立ち止まらず、一歩一歩・・・
地面を踏みしめて、ゴールまで駆け抜けていったんだ。
うさぎさんが寝ていたからって、亀さんが諦めてしまえば
結局亀さんは勝てなかったんだから・・・どんなに遅くても、一歩一歩進んでいくことが一番大事なんだよ。』

律のパパの言葉・・・今思えば、こんな人を父親に持っていると思えば、
ふらふらして見えても信念は決して曲げない・・・そんな律の性格も頷けるというものだ。
「だから・・・澪ちゃん!最初からできないって決め付けちゃだめなんだよ!」
どんな辛いことにも負けないで
「よし!私が澪ちゃんを鍛えてあげるね!」
怯えず、立ち止まらず
「え・・・鍛えるって・・・?」
一歩、一歩・・・
「澪ちゃんが強くなる特訓だよ!」

*

(・・・あんなこともあったなあ)
結局特訓といっても、語尾にだぜ!をつけろとか・・・虫の図鑑をいっぱい見て虫嫌いを克服しようとか
根本的な解決には程遠いように思えることばかりやらされたんだけどね・・・

その日私に手を差し伸べ、受け売りとはいえ、人が生きていくうえで何よりも大事なもの・・・
努力を教えてくれた律。
面と向かってはいえないけど、いつのまにかこの胸は・・・そいつへの感謝であふれていた

あいつは例えるならばウサギ。お調子者で、いつも駆け足で・・・
だけど絵本のウサギとは違う。そいつは私に手をさしのべ、
亀のように足の遅い私の隣で・・・歩幅をあわせ、一緒に走ってくれた。

私の、この人生のゴールがどこにあるかはわからない・・・いつかは、ウサギが私のもとを離れ
遥か先まで走り抜けていってしまうかもしれない。

だから、負けちゃだめなんだ・・・そいつに追いつくように、そいつを追い越すように
私は・・・亀は、立ち止まらずに一歩一歩・・・歩いていかなくちゃいけないんだ

(・・・新しい歌詞に使えるかも)

うさぎとかめを大事にダンボールにしまい
あの日の思い出も、大事に胸の奥にしまい・・・
私は、シャープペンシルとノートをカバンから取り出すのであった



名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー