けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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mioritsu

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投稿日:2010/04/19(月) 00:20:58

「おいーっす!」
音楽室のドアを開け、みんなに声をかける。
「りっちゃんおいーす!」
「もう、律先輩遅いですよ」
唯が元気な声が響き、梓からはいきなり手厳しい言葉。
ムギはニコニコしながら「今日はフィナンシェよ」なんて言ってる。
いつもの風景、いつもの日常。
多分、変わったのは私だけ。
普段の部活風景だというのに、私の心はまったく落ち着かない。
「わりーわりー、ちょっと先生に呼び止められちゃってさ~」
これだって嘘だ。先生と話してたのは事実だけど、5分程度で用事をすましすぐに解放された。
「どうせ律のことだから、こないだ掃除さぼったのがバレたとかそんなとこだろ?」
澪が開口一番呆れたように言う。
「それは前に怒られたから問題ないぜ!」
「問題大ありだ!」
いつものやりとり。普段どおりの関係。
こんなにも意識してるのは、多分私だけ。
だって…、澪を見てると苦しいんだ。
胸が締め付けられて切なくなる。
涙が出てきそうになってくる。
でもそんなの私のキャラじゃないから、部活中はもちろん澪と二人きりの時だって普段どおりの自分を装う。
「ムギ~!お茶おかわり!」
「はーい」
「さて、全員揃ったことだし。律、それ飲み終わったら一回合わせるぞ!」
「え!私は今きたばっかりなんだけど」
「うん、だからそれを飲み終わってからな」
そう言って澪が笑う。
なんかやけに澪が優しく感じるのは、私が意識しすぎてるせい?

結局、練習中も澪の背中ばかり見てた。
深く悩むのはガラじゃないけど、ずっとくっついてくるモヤモヤをどうにかしたい。
家に帰ってからも部屋で悶々と過ごしていると、ふいに携帯電話が鳴った。
…ムギ?
『もしもし、りっちゃん?』
「おう、どしたー?」
『…ちょっと気になることがあって』
ムギの声には、少し言い淀むような、心配そうな色がうかがえた。
「なに?ムギ何かあったのか?」
『私のことじゃないわ。りっちゃんのことよ』
私が黙っていると、ムギはそのまま続けた。
『りっちゃん、最近なんだか無理してるような気がして…』
「……ムギはよく見てるなぁ」
苦笑しながら返事をする。
『だってりっちゃん、澪ちゃんのこと泣きそうな目で見てたもの』
そんなつもりはなかったのに、ムギにはお見通しらしい。
もう隠しててもしょうがないので、今思ってることをムギに話した。
よく笑わずに聞けるなって感じるくらい恥ずかしいことを言ってたと思う。
『…つまり、りっちゃんは澪ちゃんのことを好きになっちゃったってことよね』
ムギはあっさりと言った。
え、私がずっと悩んでいたことは、そんな簡単な言葉に表現されるものなのか?
ん?好き?
「な、な、私が…澪を、好き?」
『ええ。さっきの話を要約すると、りっちゃんは澪ちゃんに恋をしていると言ってるようにしか聞こえなかったわ』
恋?私が澪に?
「じゃあ私がずっと苦しかったのは、片想いだからってこと?」
なんだ私は自分の感情にも気付けないほどバカだったのか。
それに、気付いてしまったところでそれが親友に対する恋愛感情だなんて、どうしようない。
『ねえ、りっちゃんは気付いてた?澪ちゃんもね、いつも優しい目でりっちゃんのこと見てるのよ』
「え…それって」
『意識してたのはりっちゃんだけじゃないってこと』
さっきから展開が早すぎて頭がついていかない。
それって、つまり…、私の都合良く解釈してもいいのかな?
『時間も遅くなっちゃったしそろそろ切るね』
「ム、ムギ!ありがとな!」
『ううん、りっちゃんも頑張って』



おやすみなさい、と言って電話は切れた。
頑張って、ってのはやっぱり告白のことだよなぁ。
ムギはあんなこと言ってたけど、ホントに澪も私のこと…す、好きなのか…?
ムギのおかげで胸のモヤモヤが3割増しになってしまった。
いっそはっきりさせたほうが早く楽になれそうだ。

携帯を握りしめ、思い切って澪に電話をかける。
気持ちを落ち着かせる間もなく2コール目で澪が出た。
「あっ澪?」
『律、どした?』
「あー、いや…今から会えないかな?」
もう12時を回っていたけど、直接会って話したかった。
『いきなりだな。別にいいよ』
「じゃあ今から行くから!待ってて!」
そう言うが早いか家を飛び出して澪の家へと向かった。
澪は玄関先に立って待っていた。
「はやっ!電話切って2分しか経ってないぞ」
澪が笑いながら私の乱れた髪を手櫛で梳かす。
「ッハァ、澪に、言いたいことがっ、あって…」
呼吸を整え、澪の正面に立つ。
もう言うしかない。
「私、澪のことが好きなんだ…。だから、よかったら付き合ってほしい」
澪の顔を見上げると、怒っているような、それでいて泣き出しそうな複雑な表情をしていた。
「…っ!!律はいきなりすぎるんだ!」
そう言って後ろを向いてしまった。
「思い立ったら即行動なんだよぅ。澪、こっち向いて」
腕を引っ張って正面を向かせると、耳まで真っ赤になった澪がいた。
多分、私も人のこと言えないぐらい赤いはずだ。
澪にも聞こえてるんじゃないかと思うほど心臓の音がうるさい。
「私も好きだよ…バカ律」
消え入るような声で返事をした澪を、思わず抱きしめた。
「りっ律!?」
やばい今めちゃくちゃにやけてる。
「ばかっここ家の前だぞ!」
澪に言われて無理矢理離されるまで、そんなことも忘れていた。
「えへへ。だって嬉しかったんだもん」
にやけ顔を隠しもせず答える。
ずっと燻ってたモヤモヤが、今はすごく満ち足りたものに思える。
胸の切なさは苦しいんじゃなくて、澪への愛しさだったんだと実感した。

「ね、澪。もっかい抱きしめていい?」




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