けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

短編84

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mioritsu

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投稿日:2010/02/28(日) 23:44:16

「まーた泣いてんのかよ、澪」
「だってぇ……」
 ぐずぐずと鼻を鳴らしながらあたしを見上げる澪。
 その瞳からはぼろぼろと涙がこぼれ落ちていて、相変わらずだな、なんてあたしは笑ってしまう。
 澪が泣く姿なんて、あたしはもう慣れっこなんだから。

「高校生になっても相変わらずだな」
「うるさい……ぐず」
 反論する声がそんな涙声じゃ説得力もないってもんだ。
「とりあえず家に帰ろうぜ。そしたら話聞いてやるからさ」
 そう声をかけても澪はやっぱり背中を丸めて泣いているものだから、どうすりゃいいのよと言いたくもなる。
 どうしたもんか、とあたしは少しだけ悩んで、
「ほら、手貸して」
「え?」
 あたしから差し出されたその手に、澪は驚いたような目を向ける。

「今日は手繋いで帰ろ。……恥ずかしいけど泣き虫澪しゃんのために我慢してやるから」
「律……」
「あー、ほら、早くしないと置いて帰っちゃうぞ」
「や、やだ」
 ぱし。澪の手があたしの手を取った。
 思わず口の端が持ち上がって、あたしはそのまま澪の手を引いて歩き出す。

「なんか、律と手繋いで帰るの久しぶり」
「小学生の頃以来だったっけ」
「……中学でも一回繋いで帰ったよ」
「そうだっけ」
「覚えてないのか、ばか律」
「なんでそうなるかな」
 歩いていくうちに澪の声からは涙の色が消え去っていて、あたしはひと安心する。
 やっぱり涙の原因は大したことじゃなかったみたいだ。
 まったく、人騒がせなんだから。

「ふふ」
 ふいに澪が笑う。
「律の手ってちっさいね」
「……そっちが大きいんだろ」
 いま泣いたカラスがなんとやら。
 澪を泣き止ませるのなんて、あたしにとっては簡単なことなんだ。



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