投稿日:2010/02/18(木) 03:58:36
<澪視点>
いつも思う。
律はどうして、あんなにも余裕があるんだろう?
いつも思う。
律はどうして、あんなにも余裕があるんだろう?
「なぁ、澪」
「なんだ」
「キス、していい?」
「なんだ」
「キス、していい?」
唐突に聞いてきたと思えば、返事をする前に行動に移されていて。
私はただ、どうすることも出来ないまま流される。
私はただ、どうすることも出来ないまま流される。
「な、な・・おまっ・・急にっ・・」
いきなりの行動に抗議をしたくても、上手く言葉も出てきやしない。
出来ることといえば、赤くなった顔を見せないように俯くだけ。
出来ることといえば、赤くなった顔を見せないように俯くだけ。
「だって、澪がキスして欲しそうだったから」
「えっ・・そ、そんなこと、ないもん」
「えっ・・そ、そんなこと、ないもん」
されたくなかったか、と聞かれればそんな事はないし。
いきなりだったとしても、凄く嬉しくなる。
でも、それを素直に言えるわけもなくて。
いきなりだったとしても、凄く嬉しくなる。
でも、それを素直に言えるわけもなくて。
「そっか。・・じゃあ、もうしないな」
「や、やだ」
「や、やだ」
考えるよりも先に飛び出した言葉に、慌てて口を抑える。
抗議の言葉は、中々出てこない癖に。
なんで、こういう時だけ直ぐに反応するんだよ。
抗議の言葉は、中々出てこない癖に。
なんで、こういう時だけ直ぐに反応するんだよ。
「そっかそっかー、澪ちゅわんはそーんなに、キスして欲しいか!」
そう言われると同時に、私は律の腕の中へと収まった。
あぁそうだよ、律にキス、してほしいさ。
苦し紛れに、心の中でだけそう呟く。
あぁそうだよ、律にキス、してほしいさ。
苦し紛れに、心の中でだけそう呟く。
「澪、顔あげてよ」
そんな耳元で囁かれたら、顔をあげたくてもあげられないって。
せめてもの抵抗に、律の背中に手を回し、胸に顔を押し付けてみる。
せめてもの抵抗に、律の背中に手を回し、胸に顔を押し付けてみる。
「おーい、それじゃキス、できないじゃんか」
こうなったら、意地でも顔、あげてなんてやるもんか。
だって、なんだか悔しいじゃないか。
そう、思っていたのに。
だって、なんだか悔しいじゃないか。
そう、思っていたのに。
「・・あんまり可愛いことすると、襲っちゃうぞ?」
「な、何言ってるんだ!」
「な、何言ってるんだ!」
衝撃的な一言のせいで、咄嗟に顔をあげて叫んでしまう。
…しまった。
そう思ったときには、もう遅かった。
…しまった。
そう思ったときには、もう遅かった。
<律視点>
澪に言われた。
律は余裕があって、ずるい。って。
澪に言われた。
律は余裕があって、ずるい。って。
そう思われている事に、ほっとした。
澪が思うほど、私に余裕なんてないんだ。
ただ、それをなんとか隠しているだけ。
澪が思うほど、私に余裕なんてないんだ。
ただ、それをなんとか隠しているだけ。
澪がキスをしたそうだったから、なんていってたけど。
本当は私が、我慢できなくなったんだ。
本当は私が、我慢できなくなったんだ。
余裕があるように、思わせたかったから。
わざと『もうしない』なんて言ってみたり。
そんなこと、できるわけないんだけど。
わざと『もうしない』なんて言ってみたり。
そんなこと、できるわけないんだけど。
でも・・・まさか、即答で返されるなんてな。
澪は知らないだろう。あの一言で、私がどれだけ動揺したかを。
それはもう、ポーカーフェイスも崩れるレベルだった。
余裕のない顔を見られたくなくて、俯いたままの澪を腕に閉じ込める。
それはもう、ポーカーフェイスも崩れるレベルだった。
余裕のない顔を見られたくなくて、俯いたままの澪を腕に閉じ込める。
そうしたら、また、澪にキスがしたくなった。
見られたくないって思ってるのに、変なの。
見られたくないって思ってるのに、変なの。
出来る限り、余裕があるような声色で、澪に囁く。
素直に顔をあげるとは思ってなかったけど。
胸に顔を押し付けられるとも、思ってなかった。
なんでこいつは、こうも私を動揺させるかな。
素直に顔をあげるとは思ってなかったけど。
胸に顔を押し付けられるとも、思ってなかった。
なんでこいつは、こうも私を動揺させるかな。
…やばい、この喧しいくらいの心臓の音が、聞こえてしまったら。
私に余裕が無い事を、悟られてしまうかもしれない。
私に余裕が無い事を、悟られてしまうかもしれない。
私には確信があった。
澪が少しでも落ち着いてしまえば、立場なんてあっという間に変わっちゃうってこと。
でも、それはまだ困る。
まだ、私にかっこつけさせてよ。
澪が少しでも落ち着いてしまえば、立場なんてあっという間に変わっちゃうってこと。
でも、それはまだ困る。
まだ、私にかっこつけさせてよ。
だから、澪の顔をあげさせる、取っておきの一言をいってやった。
おわる。