カヌチ 白き翼の章

制作:オトメイト


製品概要

タイトル カヌチ 白き翼の章
ジャンル 恋愛アドベンチャーゲーム
対応機種 PS2
定価 7,140円(通常版) 9,240円(限定版) 10,290円(特別限定版・白のみ)
発売日 2008年10月2日

選評


黒が出てから評価すべきだろうけどカヌチもなかなかの期待作に感じる

いつも続編やFDの要望があるので今回は最初から二部構成にしました☆
の強気発言から始まり、まだ肥しかやった事のない限定版2種はワゴンに行き
10kを越すものに至ってはアマゾンにてまさかの70%以上のオフとなった
W主人公で主人公Bに恋愛はありませんと言っておきながら
攻略対象の半数が主人公Bを好きになるという結果でスレ住人を失意の底へと叩き落とした
特にメインヒーローであろうキャラが主人公Bにゾッコン
大半のユーザーが感情移入してるであろう主人公Aが空気化というどこかで見たような状況に
主人公Bの心理描写がほとんどされていない為主人公とは思えず
まるで脇キャラとのカップリングを見せられてるような気持ちになれる
序盤のメインヒーローっぷりに期待したユーザーも多い中そのようなストーリー展開をしたので
スレでは名前さえ呼ばれず地雷様と敬意を表したあだ名が付けられたあげく
彼専用テンプレ、通称地雷テンプレも用意されている
次作での彼の汚名返上を期待する声は少なくただ彼をどのようにして振るか
どのようにして主人公が幸せな様を見せ付けるかなどと
おおよそメインヒーローの話題とは思えない話をされている始末である
乙女ゲームなのに攻略対象と恋愛出来ないという新しい地雷を作った斬新な作品となった
このゲームで特筆したいのは地雷地雷と嘆いてるスレ住人に
同じ傷を負った一体感みたいなものがあり
スレ内の空気が妙に和気藹々としている点である
そんなスレを見て地雷と判っているのに特攻するユーザーも居て
自爆に近い形で被爆したにも拘わらずその表情は穏やかなのが印象に残る


W主人公・二部作という乙女ゲーでは初めての試みを取り入れた「カヌチ 白き翼の章」。
発売延期のトラブルもありつつ無事発売したかのように見えたが…発売直後のカヌチスレの阿鼻叫喚っぷりは記憶に新しい。

まずは件のW主人公設定。この設定こそがカヌチの評価を極めつけた。
主人公Aは鍛冶師に憧れるごく普通の女の子。主人公Bは二千年の時を越えて蘇った戦女神様。
…この時点で嫌な予感を感じた貴女の直感は正しい。順を追って説明することとしよう。

序盤は主人公Aのみで進行し、彼女の境遇・鍛冶師を目指すきっかけ等が丁寧に描かれている。
攻略対象キャラも続々と登場し、新米鍛冶師の主人公Aとの交流が描かれている。
序盤が終わる頃には大抵のプレイヤーは主人公Aに感情移入し、主人公Bのことをすっかり忘れているだろう。
そんな中、唐突に主人公Aの身体に光臨する主人公B。どうやら彼女には使命があり、二千年の時を越えて蘇ったらしい。
大した説明もなく主人公Aの身体に居座り始める主人公Bにまずポカーン。それをあっさりと受け入れる主人公Aの寛大さにもポカーン。
更にあっさりとその事実を受け入れる周囲の反応にもポカーン。受け入れるどころか、攻略対象キャラは最強設定の戦女神様に興味津々の様子。
物語全編に漂い始める主人公Bマンセーの空気。そしてついに怒涛の主人公Aの空気化が始まる…。

主人公B登場後も基本操作キャラは主人公Aであり、見た目も主人公Aのまま物語は進行する。
加えて主人公Bにのみ立ち絵があり、設定過多すぎて謎に包まれた主人公Bはあくまで重要な役目を担ったサブキャラ感覚で
殆どのプレイヤーは主人公A視点のままでゲームを進めることだろう。
しかし、これが本作最大の落とし穴である。

結論を言ってしまうと、なんと主人公Aと主人公Bで攻略対象キャラは折半。
つまり、全く感情移入できない主人公Bの恋愛を傍観することになってしまうのだ。
メインヒーロー格のクラト(通称:地雷様)を例に挙げて説明しよう。
主人公B登場前の序盤、主人公Aと一番関わるのは彼である。何だかんだ言いつつも世話を焼いてくれる彼に
誰もが好意を持つことだろう。この期待が後々裏切られることを知らずに…。
主人公B登場後、とある事件で自暴自棄になったクラトは主人公Bと何故か決闘。主人公Bは最強設定なので勿論クラトは惨敗。
フルボッコにされた彼は、何故かその後主人公Bにゾッコン状態。勝手に一人で盛り上がるクラトに、主人公A視点のプレイヤーは当然ポカーン。
クラトと二人で出掛けても主人公Aは空気、何故か主人公Bとクラトのやりとりを傍観する立場に追いやられる。
更にはクラトの「主人公AとBは二人で一人」発言。主人公Bに明らかな好意を持っている状態でのこの発言は、どう捉えたらいいのだろうか。
極めつけは某キャラとクラトの主人公B争奪戦。当然その場には主人公Aもいるがやはり空気。…もはや笑うしかない。
序盤でクラトと主人公Aのやりとりに萌えてしまった反動もあり、結果としてクラトは多くのプレイヤーから憎悪の念を向けられることになる。
…以上が乙女ゲーメイン格であるはずのキャラが地雷様と崇められるようになった経緯である。

クラトルートだけでなく、他のキャラルートでも主人公AとBの扱いの落差は激しい。
主人公Bのやることは全て正しい、主人公Bマンセーが本作の基本であり、主人公A視点になってしまうプレイヤーは心が荒むこと必至だ。
総じて主人公Aに感情移入してしまう作りになっていることに、開発中に製作者は気付かなかったのだろうか。
そもそもW主人公にする意味があったのか。どうしてW主人公にしたのか…製作者の真意は読み取れない。

その他のクソっぷりを箇条書きで。
  • 既読スキップが遅すぎる
 共通ルートが長く、周回プレイによって開くシナリオもある作りでこの速度は酷すぎる
  • セーブ画面でフリーズする
  • 個別ルート突入後にセーブすると、セーブデータの章タイトルが全てクラトルートのものになる
  • 背景や音声の指定間違いが多数見受けられる
 特にミトシルート終盤の重要な場面では、スタッフの「リテイク」発言が収録される始末

乙女ゲーにおいて最も重要な主人公に地雷設定がある以上、カヌチのクソゲー認定は避けられない。
後編発売が来年春に控える中、更なる地雷が生み出されないことを祈るばかりだ。
最終更新:2010年05月06日 18:25