ふたば系ゆっくりいじめ 482 死体

死体 19KB

虐待 赤ゆっくり虐め




その空間だけが時間が止まったように、くっきりと。
皮膚の色はくすみ、一切動かない。
道端に転がり、誰にも相手されない一個の孤独な死体。



放課後の帰り道。少年二人は道行く途中に成体ゆっくりの死体を発見した。
生き物の死体とは男子児童の心を惹きつける何かがあるのだろう。

だいの大人には「汚らしい」「嫌なものを見てしまった」とだけ思って見過ごされる死体も、子供の心には大きく働きかける。
それは身近に感じてしまった「死」に対する畏怖の念から来るものか。
単純にいつも見ているのと全く違う状態の生き物に興味を示しただけなのか。
元々山に遊びに出かける予定だった彼らは、その亡骸の横に腰を下ろし、じっくりと観察を始めた。


全体として見る限り、目立った外傷が無い。
めでたくも珍しい老衰死、もしくは悲惨なことに過剰に叩かれでもして死んだのだろう。
後者は良くあるパターンである。
ゆっくりの皮は意外に丈夫な為、滅多なことで破れて「餡子がドパァ」とはならない。
何の目的があってか人間の生活圏に踏み入り、叩き、蹴られ、泣く泣く逃走。
その時に人間から受けたダメージが祟り、そこら辺でひっそりと餡子を吐きながら死んでいく。
良くあることなのだ。

それよりも異様なのは、目。これには少年達もすぐに気が付いた。
漫画的で単純な造形ながらもグリグリ動く目玉は、今や一切の生気を持っていない。
地面に沿ってただ真っすぐに、前を見つめている目。
それでもなお何か言いたげに見えるのはその表情の所為か。
口元は半開きで、いまにも何かを喋り出しそうな印象すら受ける。
成体にまで育ったゆっくりは段々と感情に乏しくなると言う。
にへらとしたり、人を馬鹿にしたような顔しか作れなくなるのである。
これもまた人間達にゆっくりが良く思われない理由の一つかもしれない。

しかし表情こそ変わらないものの、悶え苦しんだ形跡はしっかりと残されている。
全身にめり込んだ小石や、それが作ったであろう傷の数々。
強く全身を打ちつけながら転がったのだろう。苦しんだのだろう。
底部以外は耐久力が低いと言われるゆっくりの肌。
さらには体力的にも弱っていることも加えて、いち生物がただの地面に甚振られ続けたのだ。

そうして暴れている間に、ゆっくりお気に入りの黒い帽子は頭から落ちたらしく、数メートル離れた所に転がっていた。
恐らく自分の帽子の状況すら把握できないほどに狂乱していたのだろう。
ちょっと帽子が体から離れただけで、目の色を変えて騒ぎ立てる張本人はもういない。
持ち主を失った帽子が、ただ寂しそうに転がっているだけ。


地面に接地している口元からは、餡子が扇状に伸びている。
死ぬ間際まで餡を吐き続けたのだ。自分の生命を維持できなくなるまで。
よく見れば体が崩壊してしまっていることが分かる。
形があからさまにおかしいのだ。
全体が張りのある球形ではなく、底部や後頭部など、空気が抜けたように凹んでいる。
弱弱しさ、儚さを感じさせる、ゆっくりの変わり果てた姿である。

形を維持できず、萎びて色が黒っぽく変わってしまった肌に一層黒くなっている部分がある。
そのラインは目元から伸び、地面へと続いて水たまりを作っている。
泣いたのだ。
とうとう弱りきって動けなくなり、最期の最期。
もうどうしようも出来なくなって、半笑いのまま、
ゆっくりまりさは泣き、悶え、身を震わせながら中身を吐き続けた。
吐いて吐いて、体が潰れてしまうくらい吐いて初めて、まりさはやっと苦しみから解放された。



ぼよんぼよんとさも軽そうに宙を舞うことのできる巨体は、今やどっしりと地面に横たえられていた。
少年たちは息を飲んだ。
家族を連れてボールのように跳ねるのが面白く、見ていて飽きないゆっくり。
それがこうして微動だにしない今、こうも重々しい物へと変貌するなんて。

「……」

いかにゆっくりとは言えど、一応死体である。
まずは手にした木の枝で突いてみる。
持ち前の皮の弾力は失われており、グニュッと木の枝は体にめり込んだ。
注意して扱う必要がありそうだ。

餡子の付いた枝を放り投げ、覚悟を決めて手で押しこむ。
今度は見た目の印象だけでなく、確かに感じる「重み」
いつも蹴ったり踏んだりして遊んでいたゆっくり。
今は何故だか重い。

横向きになっていたゆっくりは仰向けにひっくり返され、天を仰いだ。
死んでしまって全身を抑えていた皮が伸びきっているのか、顔が引き伸ばされるように広がる。
小馬鹿にしているような顔がぐにゃりと歪んで、少し配置を間違えた福笑いの様になった。
その滑稽な顔に、少年達は顔を綻ばせた。

死亡現場に居合わせたのはまだ年端もいかない少年たち。
頭の中にある「死」という概念も漠然としていて、恐れるに至らない。

そしてゆっくりが事実上饅頭であることは決定的であった。
言ってしまえば単純なことだ。
昆虫を甚振って遊ぶ子供はいつの時代も一定数いるが、彼らが昆虫を遊びの対象にするのは、痛みを連想させる要素がないからである。
血、肉、感情。
それらが見てとれない、感じ取れないゆっくり。さらには動かない死体ではなおさらのこと。

さあ、どのようにして遊ぼうかと彼等が思っていた時。


「ゅー」

「ゅー ゅゅー」


声が聞こえた。
少年達は顔を見合わせる。
今ここには自分達しかいないはずである。
周りにゆっくりの姿は見当たらないし、目の前のこれは確実に死んでいる。

「ゅ…」

しかしこのフィルターを通して聞こえてくるような特徴的な「ゆ」という鳴き声。
それは紛れも無くゆっくりのものであり、確かに目の前から聞こえる。

まさかとは思いながらも彼らは扁平に広がったゆっくりの顎部分に耳を当てる。
ゆっくりからすれば腹に当たる部分である。
くぐもった声。
ゆっくりの声。
そこから打ち立てた予想が正しければ…

「ゆー」

声は先ほどよりもはっきりと少年達の耳に届けられた。
要するに、このゆっくりまりさはお母さんゆっくりであり、身ごもっていたのである。
何の因果か。どうしてこんな安静にするべき時期に出歩いていたのだろうか、と考えてしまうところではあるが、
恐らくは単にお腹の子供のために餌取りにでも出たのだろう。

たったそれだけのことだったが、結果としては自殺行為だった。
慣れない体でゆんしょと野菜を引き抜いている所を見つかり、ゆっくりまりさは訳も分からないまま叩かれた。

(まりさがみつけたおやさいなのに! あかちゃんのために栄養つけなきゃいけないのに!)

身重でサッと逃げだすこともままならない。ならばいっそ人間に立ち向かうのもアリか?
そう考えて威嚇しようとするも、いつもとは状況が違うことを思い出す。
沸々と湧き上がって来る反抗心を抑えつつ、ひたすら逃げる方を選択したゆっくりまりさ。
それは一見、懸命な選択だった。

人間側も、殺すことまでは考えていなかった。
とにかくゆっくりを根絶やしにしようとするタイプの人間ではなかったのだ。
いつもより動きが鈍く、それでも必死に逃げる姿を見て、もう懲りただろうと思ったのだろう。
追いかければ殺せるにも関わらず、そうはしなかった。
そこまでしなかった自分を称賛し、畑の主は「森で元気で暮らせよ」と無責任にも呟いた。



結局、ゆっくりまりさは死んだ。



ただ、まりさが死ぬ間際まで悔やんでいたであろう、最悪の事態には至らなかった。
ゆっくりの誕生には謎が多い。
赤ゆっくりの生った茎を母体から切り離しても、砂糖水などで栄養補給を続ければ無事に産まれることが出来るように、
母親と子の、身体上の繋がりはかなり曖昧である。

胎生出産の場合はさらに不明確で、胎内には哺乳類でいう胎盤のような連絡器官が存在しない。
一説には卵胎生出産のように、赤ゆっくりはそれ自体に成長する機能を持ちあわせており、
「未熟な赤ゆっくりが完全になるまで体の中で育てる」と言い表すのが正しいのではないかとも言われている。
そのため、死んだ母体でも安全であれば産まれる落ちることが出来るのだ。

「ゆー」

少年達は活気づいた。

―中のゆっくりが見てみたい

まるで医者にでもなったかのような気分で、彼らは成体まりさの解剖に取り掛かった。
無論、これが哺乳類や鳥類だったならば話は別だっただろう。
あくまで彼らは饅頭で、漏れ出るのは餡子。血とは雲泥の差。

それに動物の死体はすぐに腐敗が始まる上、外傷がないとあらばそれこそ不気味。触るのも憚られる。
しかし、饅頭ならば腐るのには数日を要するだろう。
そして死んだら正真正銘の饅頭なのだから、死体だからと言って非衛生的でもなく、扱いに専門的な知識も必要ない。
よは、これは「解剖」のおままごとであり、いわゆる「解体」だった。

彼らは解剖ツールを取り出した。
はさみやカッターといった文房具の数々。
単純な道具だが、ゆっくり相手には十分な品揃えである。
饅頭皮に刃物は通用しないだろう、等と相談しながら、定規をゆっくりまりさの顎部に差し入れる。
出産時でもないためまむ穴は見えていなかったが、なんとなく定規を使って場所を決め、一気に押し込む。
気分はオペである。

だが、彼らはオペに付きものの綿密な下調べをするつもりなど無かった。

「ユピィ!」

鋭い声が漏れた。
中で生きていた赤ゆっくりのうち一匹が死んだのだろう。
それでも彼らは手を止めることはしなかった。
命を救ってやりたいという崇高な目的は鼻っから無く、彼らを突き動かすのはただの好奇心。
「死んだ!」「死んだな!」と少年達は顔を見合せてケラケラと笑った。

まむ穴から定規を真下に引きおろして傷口を広げる。
躊躇もせず傷の両へりに手をかけると、一気にまりさの皮を捲りあげた。

「ひゅ!」
「ゆ゛ーゆ゛ー」
「ゆ゛っ」

中にいたのは一般的な赤ゆっくりよりも小さなゆっくり達。
それも少年達が想像していたよりも多かった。「喋れない」物も幾つかいたからである。

顔にあるのは目と髪だけ。ひたすら辺りをキョロキョロ見回しているゆっくり。
歯の生えていないあどけない口で「ひゅー」と言い続けるゆっくり。
はたまた目も口も無く、ぶるぶる震えながら何かを主張しようとしているゆっくり。

傍目から見れば奇形のゆっくりだったが、それも無理はない。
母体のまりさの腹は、外から見ただけでは妊娠していると判別できない状態だった。
おそらくは妊娠初期。まだ交尾してから数日しか経っていないのだろう。
その段階ではお腹のゆっくりはまだ小さく、生物としても未熟である。
人間の赤ん坊とて、初期の段階ではとても可愛らしいとは言えない姿だ。

「キモ…」

これを見て、少年達のモチベーションは一瞬下がった。
それもつかの間、解剖を終えた彼らは次の遊びを始めることにしたのだ。
「駆除」
まるで害虫のような"気持ち悪い"ゆっくりを、この手で殺すんだ、と心に決めたのだった。
それが今の彼らの正義であって、最高の楽しみ方であった。
幼い少年達は本来相反するこの二つを混同し、正しいことをする酔いしれながら「面白そうなこと」を手当たり次第にやり始めた。

まず彼等が標的に定めたのは"目だけ"ゆっくり。
理由は簡単である。一番気色悪いからだ。最も悪者に見える。

赤ゆっくり達は突然の外界の光・空気に惑い、混乱していた。
だからこそ捕まえるのは簡単だった。
"目だけ"赤ゆっくりに降り降ろされる定規。
平たい面では無く、縦に押しつけられた定規は赤ゆっくりの体を突き進み、地面にぶつかった。

「…!」

口の無い赤ゆっくりは喋れないため、痛みによる悲鳴すらあげなかったものの、目が口以上にその心中を語っていた。
痛みの源を両目で探すようにグルグル回していた赤ゆっくりだったが、すぐに視線は一方向に定まった。
自分の体のど真ん中である。

両目ともに中心を見ようとするので酷く寄り目。
目の前で自分を「分断」している定規を見つけた赤ゆっくりは、物言わずにその目から涙を流し始めた。
少年は手を伸ばし、べたりと張り付いている赤ゆっくりの片側を引き剥がした。

面白いもので、こうして等分されたゆっくりはしばらく生きられるようなのである。
定規の先に残された赤ゆっくりは片目で、もう片側を追いながら泣き腫らし、
一方、摘まれた側はプラスチック定規に貼りついた自分の断面図を見せつけられ、涙すら出てこなくなる程にショックを受けたようだ。
人間からすればただの饅頭なのだが、ゆっくり達の意識では内臓を目の当たりにするに等しいのだろう。

違った反応を見せる二つの目を見比べて、面白そうにしていた少年だったが、
死体まりさの方が何やら騒がしいのを聞きつけると、定規に付着した物諸共投げ捨てた。
草むらに投げ捨てられた赤ゆっくりは、土ぼこりや草の葉が容赦なく傷口に直に侵入してくるようで痛みにのたうっていたが、
すぐに息を引き取った。


お母さんまりさの切り開かれた胎内。
そこでは命からがらの脱出劇が繰り広げられていた。

先ほどの惨状を目の当たりにしたゆっくり達はせっせとお母さんまりさの胎内から飛び出し、顔面を這って母体から脱出。
自分たちを脅かす存在から離れるように、外へ外へと逃げ出していく。
それを掴まえるのは少年達。
文房具セットから取り出したコンパスやカッターを、わざとらしく地面に投げつける。
それは赤ゆっくりの頭に上手く当たり、体の中を貫通して彼女達を地に押さえつけた。
コンパスで頭頂部から貫かれたゆっくりは「何で動けないの?」とでも言いたげに底部を震わせるが、それが余計に痛みを呼ぶ。

「ゆきぃぃいぃい!!」

甲高い声で泣き散らしながら小さい身をのけぞらせ、震わせ、自分を抑える物から逃れようとするが、
それまた一層己の体を傷つける結果になる。
元々の傷はコンパスの太さよりもどんどん外へと押し広げられ、ドーナツ状になった赤ゆっくりは絶命した。
図らずも、少年は最初の一撃以外は手を下さずして一匹を殺すことが出来た。
わざわざ手を加えなかったのは、見ているだけで面白かったからだ。
最期の方など、コンパスを中心にグルグル回りながら、口や傷口から餡を盛大にまき散らして自ら逝ったのだから。

対して、カッターに射とめられた赤ゆっくりはすぐに拘束から解かれた。
もちろん、たまたま体が柔らかったためにカッターの刃が後頭部を切り裂いただけの話である。
後ろが開いたままでまともに這い進めるはずも無く、すぐに恐れよりも痛みが勝ってのたうち回り始めた。
激痛を堪えるのに必死で、もう何から逃げていたのかすら覚えていないだろう。
そして、もう覚えている必要はない。
恐れるべき相手はニヤニヤと赤ゆっくりの死に様を観察しているだけなのだから。

「ひゅっゆひしぇじぇぎぇ!!」

流石はゆっくりと言ったところか。
歯のない口で「ゆっくりしていってね!!」と叫びながら転がる。
母親から受け継がれたの餡子に最も強く刻みつけられている言葉だからだろうか。
それを始めとして、既に理性と呼べるものは消し飛んでしまっているようで、挙動すらもおかしい。
何か信号が送り込まれたロボットのように同じ行動を繰り返しているのだ。
ひたすら伸び縮みを繰り返し、その内に後頭部からの餡子流出で、力なく顔面から地に崩れ落ちた。


少年達がその二匹を観察している最中に、速いものは2・3メートル離れた所を這っていた。
とはいえ、流石に生まれるはずが無かった状態で運動するのは辛いらしく、その辺りですっかり疲れ果ててしまったようであった。

2・3メートルは赤ゆっくりにとっては遥かな距離かもしれないが、人間にとっては数歩の範囲内である。
後頭部の傷口を露わにして突っ伏す赤ゆっくりを放置し、少年は数歩で息を切らしている赤ゆっくりの元へとたどり着く。
後ろから迫る影。
怯えた赤ゆっくりが恐る恐る上を見上げると、そこには案の定少年がいた。

ひょいと軽く持ち上げられ、底部に何かを貼り付けられる。そして静かに地面に置かれた赤ゆっくり。
予想外の出来事に一時は取り乱しながらも、再び前に進み始める。
とにかく今は逃げなくてはいけない、という命令が赤ゆっくりの頭を支配している。
何故助けてもらえたのか考える余裕などは、彼女の小さな頭には与えられていないのだ。

もちろん、助けてもらえたと言うのは間違いで、赤ゆっくりの底部は機能しなくなっていた。
正確には貼り付けられたセロハンテープで一時的に機能を失っていたのである。
底部を突っ張り、移動を試みようとするが、つるつる滑ってしまい動けない。

まだ跳ねることを満足にできない赤ゆっくりにとって、唯一の移動手段は這うことのみである。
ゆっくりが這うメカニズムは判明していないが、底部の摩擦をなんらかの形で利用しているのは確かである。
よってセロハンテープで底部の引っかかりを奪ってしまえば、いとも簡単に動けなくさせることが出来るのである。

不自由ながらもちゃんと動かせているはずなのに。
訳も分からずゆんゆんと泣きべそをかき始める赤ゆっくり。
逃げなくちゃいけないのに。

再度少年が赤ゆっくりを取り上げる。
今度は乱暴に摘まれ、赤ゆっくりはぶぴゅっ!と口から餡子の飛沫を吐きだした。
そのまま少年は底部を手前に向け、爪を立て始める。
何をしようとしているのかはもう一人にとっても明白だった。
知らないのは本人だけ。

「ゆぎゅい゛い゛い゛い゛い゛い゛!!??」

脆い。
ただでさえ未熟な体を酷使して数メートル這った後のあんよである。
セロハンテープを貼られ、一気に引き剥がされることで、あんよはびりっと破けてしまった。
今はあんよの代わりに歪な形の傷口が赤ゆっくりの底部に広がっているだけ。

ボタリと餡が垂れ始めたのを見て、少年はすぐに赤ゆっくりを地面に置いた。
こうすることでしばらく楽しめる。
傷口から餡が出きってしまうのは面白くない。
痛みにゆーゆー泣きながら死んでいくのが面白い。
四匹の赤ゆっくりの命を奪った末、彼らはそんなことまで考えるようになっていた。
遊びに変化を求めていたのだ。今まではあっさり殺し過ぎた。

「ゆ゛ー!! ゆ゛ゆ゛っー!!! ゆ゛ぅ゛ぅ゛!! 」

少年達の思惑通りに、赤ゆっくりは餡子が体から出て行かずに苦しんでいた。
体内に残った餡子は体であり、しっかりと感覚を持っているらしい。
臓物を直接痛めつけられているような感覚か。
ならばいっそのこと一瞬の痛みに耐えてでも切り離して欲しいと思うことだろう。
しかし、彼らはそれを許さない。

痛みから逃れようと、横転しようとする赤ゆっくり。
そうすれば確実に死期は近付く。それでも今は生きたいという意志よりも反射が勝る。
そこに少年達の手が伸び、赤ゆっくりの体をギュッと地面に押さえつける。

カッと目を見開き、赤ゆっくりは叫んだ。

渾身の叫びだった。
それでも声帯のしっかりしていないか細い声では、少年達を驚かせるには至らなかった。
赤ゆっくりは泣いていた。黒い涙だった。
餡が路面の砂利やら何やらに直に触れ、酷く痛む。炎症のような体を巡る痛み。
体が熱を帯び、うなされたように苦しむ赤ゆっくり。
相変わらず目からは黒い涙を流し、目はうっすらと黒ずんでいた。充血の餡子バージョンだろう。

ゆっくりの死に方で最も多い吐餡さえ、新たなセロテープによって阻止。延命措置は完ぺきだった。
生えかけの歯を口内でギリギリと噛み鳴らすようにしながら、赤ゆっくりは恨めしそうに天を睨んだ。
少年達には大して怒っているように見えなかっただろうが、確かにその時赤ゆっくりの心の中に憎しみが沸いた。

どうしてこんなことになっているのだろう。
お母さんとゆっくりしたかったよ。

赤ゆっくりは苦しみ抜いて、最も不幸な死を遂げた。
それは少年達にとってはいささか派手さが足りなかったかもしれないが、残酷な死であった。
体内に残っていた餡はパサリと砂のにようにこぼれ落ち、肌の袋が皺くちゃになってその上に覆いかぶさった。
ストレス死。
ゆっくり出来なくなって、体が自ら死を選ぶ。
ゆっくりであることを放棄して、食べ物であることも放棄して。
産まれたばかりの赤ゆっくりには惨過ぎる仕打ちだった。
もはや死んでしまったのだからそれに何の意味も無いが。


逃げ出し始めたものは死に絶え、残ったのはお母さんまりさの周辺でまだウロウロしている目なしゆっくり。
目がなく、増してや中には髪すら無いものまでいる。
そうすればもはやただの饅頭。

最後の締めに、粛々と残りを片づけることにした少年達。
それもそのはず。口が無ければ目もないのでは、面白い反応が得られるはずもなく、遣り甲斐も無い。
せめてシャーペンの先で突いて震えるのを楽しむことにしたのだが、これすらも赤ゆっくりの側からすれば堪らない恐怖。

「…!」
「っ゛……!」

何処からやって来るか見えないという状態でチクリチクリと痛みを与えられるのは、想像以上に精神にクる。
どのタイミングで、どの場所を、どの位の強さで?
少しばかり頭の働く赤ゆっくり達は、それを無意識的に考えてしまい、次第に弱っていく。
ちょっとした痛みが激痛のように感じられ、
目の出来あがるはずの場所を刺された時など地面に激しく身を打ちつけて悶えた。

逃げ出そうにも方向すら分からない真っ暗闇なので、逃げだせない。
それでも生きることに執着し、思った方向に這い始める者もいた。
もちろんその速度は遅く、方向も出鱈目。すぐに後ろからシャーペンの攻撃を受けて転倒する。
丸い饅頭が必死に体を捻って逃げているのを見守っているだけで、少年達は満たされた。
案外これも面白いかもしれない。

対して恐怖で動けなくなってしまった者もいた。
これは手を下さずとも勝手に自滅していくパターンだと少年達は悟った。
シャーペンにビクビクするあまり、ちょっとした風や砂埃だけで大きく体を震わせるのである。
放っておくだけでも鑑賞に値する玩具だった。

全てが全て、ストレス死に至るまで遊びは続けられた。
目なし口なしでは吐餡死はあり得ないからである。
最期は、皆が皆コロリと転がって動かなくなるという地味なものだったが、少年達は満足していた。


空を見ればすっかり夕暮れ。

帰ったら母親のお叱りを受けるだろうと肩をすくめ、彼らは銘々の家の方角へと帰っていった。



寒い寒い。

今夜は冷え込みそうだ。

一刻も早く家に帰って炬燵で温まろう。





夜。
ゴソゴソとお母さんまりさの髪が蠢く。

「ゆっ」

一匹の赤ゆっくりだった。
髪色からしてお母さんと同じゆっくりまりさ。

「ゆゆっ」

今まで兄弟が悲惨な目に合わされていたのにも関わらず、ずっと母親の髪に身を隠していたのである。
だからといって、彼女がゲスなゆっくりであるという結論にはならない。
自分の非力さを自覚し、自分の命を守るための最善の行動をする。
生物として至極当たり前のことであり、未熟な赤ゆっくりとしてはとても懸命な判断だった。

他の兄弟が散り散りに逃げていく中、一匹だけあえてお母さんまりさの傍に残ったのも正解だった。
少年達の視線は多数の方に流れたからだ。
母親と離れたくなかったという気持ちもあるだろうが、それだけではないだろう。
賢い赤まりさだった。

赤まりさは意識的にか、それとも本能的にか、お母さんまりさに身をすり寄せ始めた。
腹を裂かれて見るも無残な姿のお母さんまりさ。
それでもまだほっぺたが無事だと分かると、天の方向を向いたその顔に、自分の顔をしきりに押しつけ始めた。


「おかあしゃん ゆっくち ゆっくち ゆっくちしようよ」


実に聡明な赤まりさだったが、それが赤まりさの最期の言葉となった。




【過去作品】


挿絵 by街中あき

挿絵 byAVあき

挿絵 by???

挿絵 by儚いあき

挿絵 byじゃりあき

挿絵 by街中あき


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感想

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  • かわいそうなんだねーわからないよー -- 2023-12-14 16:37:30
  • 最高 -- 2022-11-30 21:32:37
  • ;; -- 2021-07-19 01:29:29
  • 正直胴付きと希少種以外は全員生きる価値ないわ
    さっさとキリライターしようね!! -- 2021-02-23 00:14:15
  • あと、アンチはさっさと謝罪ツイートしてさっさとSんでね!!
    すぐでいいよ!! -- 2021-02-23 00:13:07
  • 最高だぜぇ
    てゆうか作者さんの表現力が今まで見てきた中でトップだった…
    ずごい"よ"ぉ
    どぼぢでごん"なずごいごどがでぎる"の"ぉ? -- 2021-02-23 00:11:19
  • 他人の個人的な「好き」の領域に首を突っ込んで「不快」だのなんだの言うのは間違いなく餡子脳 -- 2020-09-16 23:37:36
  • 不快きまわりない -- 2020-07-04 23:12:43
  • こういうの書く人馬鹿なのかな?w -- 2020-07-04 22:51:26
  • 他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!この話し自体が不快なんだがw -- 2020-07-04 12:35:43
  • たとえ生き物じゃなくても自我を持っているんだから虐待はしてはいけない。このような文章を見て心を痛める人もいるんだから。たとえそれが空想のものでも -- 2020-07-04 12:31:24
  • かわいそすぎる -- 2020-07-04 12:27:02
  • 数匹生かしておいて育てるってのもいい手段。勿論いじめながらね! -- 2020-06-18 13:48:51
  • 登場する何もかもが気持ち悪い話。こういうのが書けるということは余程世の中や自分をシビアな目で観ることのできる人だからなんだろうなあと思う。練られた倫理観がちゃんとあって、共感力がしっかり育っていて、他人の醜さも自分の醜さも見つめた上で、いわゆる大人になってやっと書けるお話というか。ゆっくりを生き物だと本心では認めた上で『でもただの饅頭だから潰すね』と嘯ける、実に趣味のいいゆ虐。 -- 2018-08-26 12:51:11
  • こういう風にまずゆっくりから解剖していき徐々に虫→小動物→中動物
    大型動物と解剖していき、挙げ句の果てに人間を解剖するサイコパスがうまれる。
    まあ、滅多にないですが、滅多に。 -- 2018-08-24 00:15:21
  • ゆっくりはどういう原理で動いているのかわからないからゆっくりできないよ!
    あとこのまりさはにんげんさんのはたけさんにかってにはいっておやさいさんをとったのにわるいと思ってないゲスゆっくりだよ!
    そのあんこさんをうけつぐクソガキをせいっさいしたにんげんさんは、えいっゆんだよ!!! -- 2018-07-02 17:10:52
  • あははははははははははははははははははははははははははははははははおもしれぇ! -- 2018-06-17 14:06:30
  • 胎生型なのにこんなに害頭がいる事にビックリだwww
    ナイス駆除活動、少年たち!!

    「さすがに酷い」「かわいそう」と言っている面子に訊くが、
    「生き物ではないゆっくり」に可哀想とか言ってしまう君達が心配になるよ?
    ※生き物の定義を調べたら、ゆっくりが生き物でないことがわかるよ。
    「体が菓子で構成&代用可能」だったり。実は「酸素が不必要」だったりと。 -- 2018-03-06 05:24:45
  • うーんやっぱ虐待するなら子ゆかなあ。赤ゆはほんとスナック感覚でプチプチ潰したい -- 2017-09-27 23:12:27
  • 挿絵がとてもゆっくりしているよっ! -- 2017-07-06 01:00:54
最終更新:2009年11月11日 16:26
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