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初心者用トロンボーン技術

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トロンボーンの歴史


トロンボーンはとても古くから存在する楽器で、その起源は15世紀までさかのぼります。
トロンボーンは昔から教会で演奏されており、神の象徴ともされていました。当時は「サックバット」と呼ばれていましたが、基本的な構造は今とほとんど変わっていません。 トランペットやホルンなどは、指を使って音を変えるように進化しましたが、トロンボーンは腕全体を使って音の高さを変えるという、何ともアナログな楽器なのです。 しかし、そんなアナログな楽器だからこそ他にはない魅力というものも存在します。 その素晴らしさは、これから皆さんが直接体験して いくことになるでしょう。

トロンボーンの種類


トロンボーンと一口に言ってもいくつか種類があります。 
まず、何もついていないトロンボーン (p2参照)をテナートロンボーンといいます。 それにFレバーがついたものがテナーバス トロンボーンです(上図参照)。 テナーは主にジャズ、テナーバスは主にクラシック等で活躍することが多いです。  この他に管の太さで太管と細管に分けることができます。  太管と細管は、マウスピースを選ぶ際に重要なので覚えておきましょう。


楽器の組み立て方


①ケースを開けると、楽器がスライドの部分とベルの部分に分かれて収まっています。
②スライドを取り出し、石突きを下にして床に立てます。
③スライドにオイル(クリーム)を塗ってすべりを良くします。
 ※スライドは伸ばしすぎると外れるので注意しましょう。
④ベルを取り出し、スライドの接続部分に差込み、止金をしめます。
⑤マウスピースを差し込んだら組み立ては完了です。


楽器の置き方


楽器を置くときは、下のように置きます。壁や机に立てかけたりすると、倒れて破損する恐れがある
ため、気をつけましょう。


マウスピース


マウスピースの構造は右のようになっています。
マウスピースは実際に口が当たるところであり、
また音の発生源である口に直接当たるため、とて
も精度が要求される部分です。そのためマウス
ピースはとても沢山の種類があります。カップが1
ミリ深かったり、リムが1ミリ厚かったりするだけで、
音に変化をもたらします。


マウスピースの選び方


じゃあ初めはどんなマウスピースで練習すればいいの?という質問があると思います。
まず自分の楽器の管の太さにあったものを選びましょう(太管用と細管用があります)。 
これが違うと楽器に合いませんのでご注意ください。
初めて楽器を手にする方は、まだ楽器を吹くための口の筋肉も出来上がっていませんので、
あれこれ変えずにまずはスタンダードなマウスピースで慣れることが大切でしょう。
そこで私がお勧めするマウスピースは、Bach(バック)というメーカーの
「 6・1/2・AL(ロク・ハーフ・エーエル) 」 というマウスピースです。
実際にプロでも多くの人が使っているマウスピースです。
「 6・1/2 」 というのは、カップの深さを表した数値ですが、
もしこれが手に入らなくてもこの数に近いものを買うことをお勧めします。
もちろん違う種類が絶対にいけないということはありません。


楽器を吹くにあたって


体操選手が準備運動をするように、トロンボーンを吹く前に準備があります。

♪フラッピング

まず口を軽く閉じます。その状態で息をはくと、しまりなく閉じられたその口がブルブルと振動して、
まるで馬が鼻を鳴らしているような音が出ます。このエクササイズを一息でできるだけ長くできるように意識
してやって見ましょう。楽器を吹く前に毎回20秒位やっていれば、段々コツがつかめてきます。

♪マウスピースの音だし

先ほど説明したように、音の発生源はマウスピースと口の部分です。そのため、
マウスピースだけで音を出せるようになることはとても重要なことなのです。

♪マウスピースの当て方

マウスピースを当てる位置は上唇と下唇の割合がおよそ
2 : 1 になることが理想といわれています。
口は軽く微笑んだくらいの形がよいでしょう。
この状態で上下の唇が振動すると音が出ます。

では実際に音を出してみてください。
息を楽にたっぷりとはくことがポイントです。音が出るようになったら、なるべくきれいな音で長く伸ば
せるように練習しましょう。
一つの音が出せたら、音の高さを変えてみてください。
このエクササイズも毎回楽器を吹く前に行いましょう。


楽器の持ち方


ではいよいよ楽器を持ってみましょう。
左手は中指、薬指、小指で楽器を握りこみ
ます。人差し指はマウスピースの接続部分
辺りに添え親指をキーに乗せれば楽器はもてます
(キーのない楽器は柱に親指をかけます。)
楽器の重さを支えるのはすべて左手です。
右手は人差し指、中指、薬指と親指でスライド
の間の柱をつまむように持ちましょう。 
手の平が自分に向くように持つことがコツです。
右手でスライドを動かすため、こちらは楽に 
添える程度に持ちましょう。


楽器の構え方


そのままの持ち方で、楽器を自分に持ってくれば楽器は
構えられます。
①自分の姿勢を崩さないこと。
②左手で楽器を持つこと。
この2つに注意してください。

先ほどのマウスピースを吹く感覚で吹いてみてください。楽器のベルから音が出ているはずです。


ポジションについて


トロンボーンは、スライドを伸び縮みさせて管の長さを変えることで音の高さが変わる楽器です。
ギターのフレットのような目印はありませんが、それぞれ決まった場所があります。
これを ポジション といいます。
ポジションは 1~7 まであり、1ポジション、2ポジション…と呼びます。
詳しくはポジション別音符表に記載しますが、実際に吹いて慣れていくことが一番でしょう。
では、ポジションずつ音を出してみましょう。

遠いポジションは手を伸ばすのが大変ですが、頑張りましょう!



ヘ音記号


さて、気づいた方もいらっしゃると思いますが、音符の左端にある記号が、皆さんのよく知っているト音
記号ではありませんね。これは ヘ音記号といって、音記号より低い音 を表す時に用いる記号 です。
ヘ音記号でドレミファソラシドはこのようになります。


全音符・2分音符とその休符


楽譜の勉強をしたついでに音符についても少し学びましょう。
①記譜上の白い丸玉を「全音符」といいます。この音符があったら、その音を4拍間伸ばしましょう。
②全音符に棒がついたものを「2分音符」。こちらは2拍です。
③右に書いてある休符も長さは同じです。 全休符は4拍、2分休符は2拍、お休みします。


ロングトーン


ロングトーンのエクササイズをしてみましょう。ロングトーンは直訳すると「長い音」ですね。
その名のとおり、音を長く伸ばす練習です。これにより、きれいな音を出すことや、息(ブレス)を流す
練習になります。 トロンボーンを演奏する人は必ずロングトーンをします。

♪気をつけること
①ポジションが遠くても左手で楽器を支える。
②きれいに(歌うように)音を伸ばす。
③しっかりカウントをとる。
④ポジションの場所を覚える。


呼吸について


呼吸には2つの種類があります。肺式呼吸と腹式呼吸です。楽器を吹く上で使うのは主に腹式呼吸
です。腹式といっても、実際に空気が入るのは肺に変わりありません。
息を吸うときにおなか周りを膨らませることで、横隔膜が下がり、たくさん息が入るのです。
実感がない人は、おなかに手を当てて 「 はっはっは!」 と笑ってみてください。
そのときに手を動かしているのは横隔膜です。


出てくる音は一つなので、落ち着いて吹きましょう♪
休みの間もしっかりカウントをしましょう♪


楽器のお手入れ


トロンボーンは「金管楽器」と呼ばれる仲間なのですが、文字通り金属でできているため、何もせず
放置していると楽器がさびてきます。また、楽器を吹くと管の中は水滴がたまり、そのまま片付けて
しまうとカビなどの格好の住処となってしまいます。これらの問題は楽器をきちんと手入れすることで
解決できます。

① 楽器をしまうときはスライドをふき取る。
スライドのオイルやクリームは、放置すると固まりスライドの動きを邪魔します。ケースにしまうたびに
スライドをふき取って、また吹くときに塗りなおす習慣を身につけてください。
② 指紋や汗もふき取る。
先ほども述べたように、トロンボーンは金属ですので何年も使っていればサビは出てきます。
しかし毎回片付ける前に楽器を拭くことで、そのサビ具合も最小限に抑えることができます。
③ 管内の水気をとる。
楽器を吹いていると、管の中に水滴がたまります。これは、ウォーターキーから抜くことができます。
キーを押しながら楽器の中に息を「フッ!」と吹き込むと水滴がでてきます。
これも楽器をしまう前に中の水滴を取るため行いましょう。
④ マウスピースを洗う。
マウスピースは口に触れる部分ですから、毎回きちんと水洗いしましょう。洗い終わったらきちんと拭いてしまってください。

♪お手入れ用具
主なお手入れ用具を紹介しましょう。
上の青い布はクロスといって楽器を拭く布です。その上の、ヒモが
生えたクリーム色の布はスワブといい、管の中の水気を取る
ための道具です。
真ん中左のリップクリームのようなものはグリスといい、チューニング
管に塗るものです。その右のスライドクリームはスライドに塗ります。
一番下はマウスピースブラシといい、マウスピースの管内の汚れを
取ります。


片付け方


楽器の片付け方は簡単です。組み立てたときと逆のことをすればよいのです。
①マウスピースを抜き取り、洗ってしまいます。
②止金をはずし、ベルとスライドを分けます。
③スライドとベルの汚れをふき取り、ケースにしまいます。


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